従来のファクタリングは、商品やサービスが納品された後の請求書に基づいて、売掛金を現金化する方法でした。
しかしここ最近、新たなファクタリング形式「注文書ファクタリング」が誕生しました。
注文書ファクタリングは、請求前であっても注文書や発注書があれば資金調達ができる新しい手法です。
納品やサービスの提供までに時間がかかる事業者にとっては、この注文書ファクタリングは、納品前であっても資金調達ができる効果的な手段となります。
今回は、注文書・発注書ファクタリングを導入しているおすすめ業者を紹介していきます。
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注文書ファクタリングとは
まず初めに注文書ファクタリングとは何か説明をします。
注文書・発注書・契約書を現金化できる新しいサービス
注文書ファクタリングは、取引先から受注をした段階でファクタリングができる新しい手法。2020年頃からサービス提供を行う事業者が出てきました。
注文書の他に発注書や契約書など、仕事の受注を証明するものがあれば利用可能です。
下請け業者への支払い、建設業許可の取得、資材の購入など、納品前に必要となる資金を確保できるため、企業の資金繰り改善に役立ちます。
従来の請求書ファクタリングとの違いは?
従来の請求書ファクタリングと注文書ファクタリングの違いを示したのが以下の表です。
取引方法 | 注文書ファクタリング | 請求書ファクタリング |
買取対象 | 注文書、発注書、契約書、それに付随するメール・LINE・チャット等のやりとり | 請求書 |
資金調達タイミング | 仕事の受注段階 | 仕事の納品段階 |
取引先企業への通知 | なし | なし |
審査スピード | 最短翌日 | 最短即日 |
手数料 | 請求書ファクタリングより高め | 10%〜20% |
入金サイクルの短縮 | 最大6ヶ月 | 1〜2ヶ月程度 |
納品後の請求書を現金化する請求書(2社間)ファクタリングとの大きな違いは、資金調達のタイミングと入金サイクルの短縮効果です。
請求書ファクタリングの場合は、翌月・翌々月支払い予定の売掛金を現金化するため、1ヶ月〜2ヶ月程度入金のタイミングを前倒しすることができます。
それに対して注文書ファクタリングは、案件着手前から資金調達ができ、最大で180日(6ヶ月)入金サイクルを短縮することができます。
ただし、ファクタリング会社にとって案件着手前の注文書ファクタリングの方が資金回収のリスクが高まるため、手数料は請求書ファクタリングよりも原則高くなります。
注文書ファクタリングが向いている業種
注文書ファクタリングの先駆けであるビートレーディングによると、注文書ファクタリング利用者の中で最も多い業種は、「建設業」で全体の65%を占めます。
次いで、製造業(14%)、測量業(9%)、電気工事業(9%)が続きます。
案件着手から売掛金入金までの時間が長い業種、案件開始にあたって材料費、人件費などまとまった資金が必要となる業種が向いています。
その意味では、広告代理店で大型案件を受注したしあに広告費を一時的に立て替える必要がある場合などでも注文書ファクタリングは有効だと考えられます。
おすすめの注文書ファクタリング会社5選
ビートレーディング
項目 | 詳細 |
入金スピード | 最短翌日 |
個人事業主(自営業)の利用 | 可 |
手数料 | 7%〜 |
対応エリア | 全国 |
取引可能額 | 10万円〜3億円 |
審査書類 | 注文書(発注書)、通帳2ヶ月分 |
ポイント |
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ビートレーディングは、2012年設立・業界トップクラスの買取実績を誇るファクタリング会社です。
2020年に業界でいち早く注文書ファクタリングの提供をスタートしました。
法人だけではなく個人事業主も利用可能。契約はオンラインでもできるため全国どこからでも利用可能です。
けんせつくん
項目 | 詳細 |
入金スピード | 最短当日 |
個人事業主(自営業)の利用 | – |
手数料 | 5%〜 |
対応エリア | 全国 |
取引可能額 | 50万円〜300万円程度 |
審査書類 | 注文書・発注書、決算書、印鑑証明書、通帳コピー、許認可証(業態による) |
ポイント |
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けんせつくんはファクタリング会社・株式会社ウィットが提供する建設業界専門のファクタリングサービスです。
オンラインに特化しており、スマホだけで全国どこの事業者でも利用ができます。
ただし、建設業以外の業界は利用ができません。
BEST PAY
項目 | 詳細 |
入金スピード | 最短翌日 |
個人事業主(自営業)の利用 | 不可 |
手数料 | 5%〜 |
対応エリア | 全国 |
取引可能額 | 100万円〜3億円 |
審査書類 | 注文書(発注書)、通帳3ヶ月分、専用申込書 |
ポイント |
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BESTPAYは、請求書ファクタリングサービス「ベストファクター」を運営する株式会社アレシアが提供する注文書ファクタリングサービスです。
請求書ファクタリングの実績が豊富で、HPでも積極的な情報発信を行なっているアレシア。クラウドサインによるオンライン契約に対応しています。
トップ・マネジメント
項目 | 詳細 |
入金スピード | 最短当日 |
個人事業主(自営業)の利用 | 不可(月商500万円・設立半年以上の法人のみ) |
手数料 | – |
対応エリア | 全国 |
取引可能額 | – |
審査書類 | 見積書・注文書・発注書 |
ポイント |
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請求書ファクタリングサービスを提供するトップ・マネジメントも注文書ファクタリングに対応しています。
注文書ファクタリングの場合は、月商500万円・設立半年以上の法人のみが対象となります。
GMO BtoB早払い
項目 | 詳細 |
入金スピード | 最短4営業日 |
個人事業主(自営業)の利用 | 不可 |
手数料 | スポット:2.5%〜12% 継続(2回以上の利用):2%〜12% |
対応エリア | 全国 |
取引可能額 | スポット:300万円〜1億円 継続(2回以上の利用):100万円〜1億円 |
審査書類 | 決算書2期分、審査依頼書、注文書(発注書) |
ポイント |
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GMO BtoB早払いは、GMOグループのGMOペイメントゲートウェイ株式会社が提供する法人向けのファクタリングサービスです。
必要書類や審査スピードは、他のファクタリング会社よりも条件的に劣りますが、大手企業が運営している安心感や注文書ファクタリングでも上限12%という低手数料は魅力的です。
注文書ファクタリング利用者の事例・体験談
新たな案件で先出し費用が必要になり、早期の資金化が必要になりました。銀行の融資では審査期間が長いため悩んでいたところ注文書買取サービスを知り、翌日には提供出来るとの事でBESTPAYに決めました。(引用:BESTPAY)
取引先によって入金サイトにばらつきがあり、入金サイトが長いところも多いため材料費や人件費の支払いで資金繰りが厳しくなることが多く、新規の案件や大型の案件を受注できない状況が続き相談しました。
注文書ファクタリングを利用したことで2日で400万円の資金調達をすることができ、さらに入金サイトを4か月短縮することもできました。
それにより資金に余裕が出来たため新規の案件も受注することができました。(引用:ビートレーディング)
注文書ファクタリングのメリット
注文書ファクタリングのメリットをまとめました。
①:請求が確定していなくても資金調達できる
請求書ファクタリングと違い、請求が確定していなくても資金調達ができる点は注文書ファクタリングの最大のメリットです。
受注さえ決まれば資金調達が可能なため、例えば、キャッシュ不足で断らざるを得なかった案件も注文書ファクタリングを活用することで対応ができるようになります。
②:納品が半年先の注文書・発注書まで買取
注文書ファクタリングでは、最大180日後に入金予定の注文書・発注書を現金化できます。(ビートレーディングの場合。ファクタリング会社によって対応できる入金までの期日は異なる)
従来のファクタリングと比べて数ヶ月程度早く資金調達ができるため、キャッシュフローの安定に繋がります。
③:最短翌日に資金調達可能
注文書ファクタリングの場合、最短申し込みから翌日に資金調達可能とするファクタリング会社が多いです。
最短数時間で資金調達ができる請求書ファクタリングと比べると審査に時間がかかるため、若干入金スピードは落ちます。
それでも銀行融資などと比べると遥かにスピーディーに資金調達できる点は大きなメリットといえます。
注文書ファクタリングのデメリット
注文書ファクタリングのデメリットも確認します。
①:請求書ファクタリングより手数料が高い
注文書ファクタリングは請求書ファクタリングよりも手数料は高くなります。
具体的な手数料は各ファクタリング会社で明示されていませんが、イメージとしては請求書ファクタリングよりも数%手数料が高めに設定されます。
注文書ファクタリングでは、サービス提供が途中で終了し納品まで完了しない可能性などがあり、ファクタリング会社にとってはリスクが高いです。
そのため、請求書ファクタリングよりも手数料は高めに設定されることになります。
②:請求書ファクタリングよりも審査に時間がかかる
上記と同様の理由で、ファクタリング会社にとって、「本当に買い取って大丈夫な取引内容か」の調査が必要になるため、注文書ファクタリングは請求書ファクタリングよりも審査に時間がかかるケースが多いです。
③:取り扱っているファクタリング会社が少ない
このように注文書ファクタリングは請求書ファクタリングよりも慎重に審査を行う必要があるため、現段階ではまだ対応しているファクタリング会社は多くありません。
現在対応しているビートレーディングやBESTPAYなどは、電子記録債権を活用したPOファイナンス(譲渡担保融資)等を提供しているFinTech企業「Tranzax」からのノウハウ提供を受けて、注文書ファクタリングを実現させています。
注文書ファクタリングに関するよくある質問
最後に注文書ファクタリングに関するよくある質問にお答えしていきます。
Q.注文書の売却を取引先に知られることはありませんか?
ありません。注文書ファクタリングは、取引先への通知が不要な2社間ファクタリングで実施します。
取引先企業にファクタリングを利用した事実を知られることはありません。
Q.注文書ファクタリングは個人事業主でも利用可能ですか?
ファクタリング会社によって異なります。
ビートレーディングは個人事業主でも利用可能です。
一方、BESTPAYは法人のみ、トップ・マネジメントでは現状、月商500万円・設立半年以上の法人しか利用できません。
Q.買取できない注文書や発注書はありますか?
法人相手の注文書・発注書であれば原則利用可能です。
ただし、既に他のファクタリング会社に譲渡している注文書や受注先が反社会的勢力、それに類する企業のような場合には利用できません。
Q.注文書ファクタリングの手数料相場はどれくらいですか?
相場は一概に言えませんが、請求書ファクタリングの相場(10%〜20%)よりも高めに設定されています。
手数料を開示しているGMOBtoB早払いの場合、請求書ファクタリングは1.5%〜10%、注文書ファクタリングは2.5%〜12%となっています。
Q.懇意な取引先のため、仕事の発注はメール、LINEでしか受けていないのですが・・・
受注書・発注書などの書類のやりとりがない場合、メールやLINE、チャットで仕事の受注に関するエビデンスが残っていれば利用可能なケースがあります。
買取判断は各ファクタリング会社によって異なりますので、まずは相談してみることをおすすめします。
注文書・発注書ファクタリングおすすめ企業まとめ
おすすめの注文書ファクタリング会社や注文書ファクタリングの内容、メリット・デメリットについて解説しました。
改めておすすめの注文書ファクタリングをまとめると、
【おすすめ注文書ファクタリング会社】
-
- ビートレーディング
- けんせつくん
- BESTPAY
- トップ・マネジメント
- GMO BtoB早払い
となります。
建設業、製造業、アパレル、広告代理店など納品前に資金が必要な業種の方々は、資金調達の手段の一つとして注文書ファクタリングの利用を検討するのも一つの手だと思います。
新型コロナウイルスの影響により作業をストップしていた3つの現場が同時期に再開することになり、急遽資金が必要になりました。
しかし作業の再開が急であったため3つの現場に必要な資金を準備することが難しく、手元資金に余裕もなかったため困っていました。
注文書ファクタリングを利用したことでお問い合わせから3日で1,500万円の資金調達することができ、作業再開までに必要な資金を用意できました。(引用:ビートレーディング)