優先交渉権とは?意味や役割をわかりやすく説明【M&A用語】

少子高齢化社会に伴い、経営者の高齢化や事業承継者不足が叫ばれています。

そんな中、M&A等を通じて事業承継や企業買収・売却・合併・経営統合などが盛んになっています。

今回は、M&Aにおける優先交渉権の意味を解説します。

優先交渉権は、独占交渉権とも呼ばれ、 M&Aには欠かせない用語の1つです。

買い手・売り手双方にとって重要な意味を持ちますので、しっかり理解しておきましょう。

M&Aにおける優先交渉権とは

優先交渉権とは、M&Aにおいて売り手企業が買い手企業に与える権利です。

売り手は、複数の買い手候補の中から買収条件等を踏まえて1社を選び、優先的に交渉できる権利を買い手に付与します。

M&Aは、企業調査や買収条件、秘密保持条件の取り決め、デューデリジェンス(DD)、最終合意などのステップで行われます。

実際には、小規模のM&Aでさえ多大な労力とコストを買い手、売り手ともに費やすことになります。

とくに買い手企業にとってはデューデリジェンスの費用を払い、その上、破談の可能性もあることから、できるだけ売り手企業には自社との交渉を進めてもらいたいという気持ちがあります。

そこで優先交渉権を持つことで、一定期間(平均1〜3ヶ月程度)買い手・売り手が公平に交渉する、というのが通例となりました。

優先交渉権と独占交渉権の違い

優先交渉権と似た言葉に「独占交渉権」があります。

その名の通り、独占交渉権は、買い手候補を一切排除し、その会社とだけ独占的に交渉を行う権利です。

優先交渉権は、他の買い手・売り手企業との比較検討をすることができますが、独占的ではないので、買い手が他の魅力的な売り手企業に取られたり、その逆があったりします。

独占交渉権は、お互いに安心して交渉を進めることができる一方、より好条件の買い手が現れる可能性を排除してしまう恐れがあります。

優先交渉権と独占交渉権の違いを理解しておくことが重要です。

優先交渉権や独占交渉権は、基本合意書(LOI)を結ぶ際に設定する場合が大半です。

LOIについて気になる方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】LOI(基本合意書)とは?法的拘束力はある?【M&A用語】

M&Aの優先交渉権まとめ

M&Aは、売り手・買い手ともに好条件で交渉を進めたいという点は変わりません。

優先交渉権と独占交渉権の違いとメリット・デメリットを知った上で状況に合わせた選択をしてください。

また、合意書の条項に盛り込む際には、売り手が第三者に情報提供することを一切禁じるノートーク条項や他買い手候補を探すことを禁止するノーショップ条項などがあります。

気になる方はこれらの違いもチェックしてみてください。