税金が払えない場合に、今すぐ実践できる対処法をご紹介します。
「税務署から督促状が届いたけど、支払いできない。。」「滞納したらすぐに差し押さえされる?」といった疑問をお持ちの方へ、今すぐできる対応法をご紹介していきます。
税金が払えない時の解決策①税務署に相談して分割払いにしてもらう
税金を払えない時に一番やってはいけないのは、督促状を無視して放置することです。
納税期日までの支払いが難しい場合、自主的に税務署へ相談しにいくのが大切です。
管轄税務署に電話し、まずは、支払いの意思はあるが期日までの対応が難しい旨を伝えましょう。
そして、月々いくらなら払えるのかを決め、分割納付にしてもらえないか相談します。
税務署も期日までの支払いが難しければ分割での支払いには柔軟に対応してくれます。
相談の際は、なぜ期日までに納付できないか理由を添えて話すと税務署職員の方にも納得してもらいやすいです。
例えば、メインの取引先との契約がなくなり、前年度と比べて売上が3分の1に減少してしまった、などの背景を説明してあげると分割の交渉もスムーズに進みます。
税金が払えない時の解決策②振替納税制度を活用する
税務署で口座振替の手続きを行うと、口座引き落としでの納付が可能です。口座振替により、納税タイミングを1ヶ月程度先延ばしにできます。
具体的には、所得税・消費税でそれぞれ以下の期日まで延長できます。
消費税の場合・・・3月31日の納期限を4月23日ごろまで延長
来月まで待てば入金があるので支払い対応できるといった場合は振替納税を使うと良いでしょう。
なお、住民税、個人事業税、予定納税は振替納税にしても法廷納期限を先延ばしにできません。
税金が払えない時の解決策③延納制度を利用する
実は所得税は2回に分けて納めることができます。これを延納制度と呼びます。
他の税金にはなく、所得税だけに適用できる方法です。
確定申告分の所得税額の2分の1以上を通常の期限までに支払えば、残り分に関しては、当年5月末まで延長することができます。
ただし、延納中は未納分について利子税と呼ばれる延滞金のようなものがかかります。利子税は、1.7%です。
利子税は、1,000円未満の場合は切り捨てとなり税金は発生しません。
延納額20万円の場合
利子税 1.7%
延納期間・・・3月16日から5月31日
利子税=20万円×1.7%×(77日÷365日)=約714円
1,000円未満のため、利子税は切り捨てとなります。
また、延納制度を利用するには、申告期限日までに税務署へ「延納の届出」の提出が必要です。
税金が払えない時の解決策④事業者ローンやファクタリングで納税資金を作る
一時的に納税資金が確保できればその後は何とかなる、という場合は、入金スピードが早い「事業者ローン」や「ファクタリング」で資金を確保するのも一つの手です。
ビジネスローンは、事業者のみを対象にしたカードローンのことで、総量規制の対象外で借入することができます。
例えば、事業者ローンの中で知名度の高い「AGビジネスサポート」では、1万円〜1,000万円(新規契約時は500万円)を無担保・無保証・年利3.1%〜18.0%程度でで借入できます。
また、入金期日前の売掛債権をお持ちの方であれば、ファクタリングでの資金調達もおすすめです。
ファクタリングは、支払い期日前の売掛金を買い取ってもらい現金化する方法です。
例えば、来月末に入金予定の売掛金がある場合、それをファクタリング業者に売却することで早期に現金化することができます。
2社間ファクタリングと呼ばれる利用者とファクタリング会社のみで取引が完結する方法を使えば、売掛先企業には知られることなく、資金調達が可能です。
ファクタリングは借入ではなく、売掛債権の売却にあたるので赤字や税金滞納中、信用情報ブラックの人でも問題なく利用できます。
【関連記事】個人事業主におすすめのファクタリング会社厳選まとめ
税金が払えない時の解決策⑤換価の猶予を申請する
少し難しい言葉ですが、換価とは公売(差し押さえ後に財産を売られること)を延期できる制度のことです。
財産差し押さえ間近まできてしまった人は、換価の猶予を検討してみましょう。
国税を納付することによって事業継続や生活の維持に支障をきたす場合に、財産差し押さえを延期してもらえたり、延滞税の一部が免除されたりします。
申請条件には、下記全てに該当することが必要です。
- 納税の意思が認められること
- 猶予を受ける国税以外に他に滞納している税金がないこと
- 納付期限から6ヶ月以内に申請書が提出されていること
- 担保の提供があること(納税額が100万円未満の場合や猶予期間が3ヶ月未満の場合は担保提供必要なし)
申請にあたっては、換価の猶予申請書、財産や収支状況がわかる書類と合わせて、所轄の税務署に提出します。
こちらは申請期限があるので、お近くの税務署に相談してみるのをおすすめします。
個人事業主(自営業)が支払う税金一覧【税率・納付日】
個人事業主が支払う税金をおさらいしておきます。種類は主に5つです。
ここでは個人事業主が支払う税金の納付期限・税率を解説します。
売上が赤字の場合や稼ぎが極端に少ない人であれば基本的に税金は発生しませんが、逆に多くの利益を出した場合には、翌年に支払う税金が非常に高くなります。
「こんな税金もあったのか!」と納付書が届いてから慌てないように、個人事業主・自営業者が納付する税金の種類と税額を確認しましょう。
①所得税
所得税は、毎年3月15日までに納付します。確定申告と同時期です。
金額は、以下の式で求められます。
(収入-経費-各種控除)×税率=所得税額
収入から経費と所得控除を引いた金額を課税所得といいますが、所得税は課税所得の金額に応じて、税率が変わります。
税率表は以下になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円を超え 4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超え | 45% | 4,796,000円 |
(国税庁:所得税の税率)
例えば、課税所得が600万円だった場合の所得税額は、
600万円×20%-427,500円=772,500円
のようになります。
②住民税
確定申告後、6月中旬ごろに住民税の納税額の通知書が市区町村から送られてきます。
住民税は、所得に応じて税額が変わる「所得割」部分と所得関係なく税額を負担する「均等割」の2つからなります。
お住まいの自治体によって変わりますが、税額はおおむね「課税所得の10%」程度です。
基本的な支払いは、6月、8月、10月、翌1月の4分割または、上期・下期の2分割か一括払いになります。
③個人事業税
個人事業税は、個人事業主が支払わなければいけない地方税です。
課税所得が290万円を超えた場合に納税義務が発生します。
逆に収入から経費や控除を差し引いた金額が290万円以下の場合は納税の必要はありません。
納付時期は、毎年8月と11月です。8月に送られてくる納付書をもとに支払います。
個人事業税の税率は業種によって異なりますが、多くの場合は5%です。一部、医療事業者や畜産、水産業等の業種は3%〜4%の税率になります。
会社員・サラリーマンにはない税金なので、独立された方は急に納付書が送られてきて驚かれるかもしれません。
④予定納税
簡単にいうと、前年度の所得がある程度あった個人事業主が納税義務を負う税金です。
具体的には、前年の所得税額が15万円以上だった場合、前年の所得税額の3分の1を7月と11月にそれぞれ前払いします。
対象者には、6月15日までに通知書が郵送で届きます。
昨年の所得税が30万円だった場合、当年7月と11月に10万円ずつ、計20万円を払う必要があります。少なくない金額ですね。。
⑤消費税
消費税は個人事業主が支払う税金の一種ですが、全ての人に納税義務があるわけではありません。
- 開業から2年間は消費税を納めなくて良い
- 前々年の課税売上高が1000万円以下なら免税
という2つの免税条件があります。
課税事業者になった場合は、毎年3月31日までに納付しなければいけません。
税金滞納するとどうなる?延滞を続けるリスクとは
滞納時のリスクについて抑えておきましょう。
延滞税や加算税が発生!期限から2ヶ月を過ぎたら要注意
税金を期限までの納付しないと、納税までの日数分追加課税が生じます。
追加で発生する課税は大きく3種類あります。
- 延滞税・・・期日までに納付しなかった時
- 無申告加算税・・・期日通りに確定申告を行なっていない時
- 重加算税・・・意図的に売上を隠蔽したり、申告していない、いわゆる脱税行為の時
①延滞税
納税期限までに税金を納めなかった場合や期日に引き落としがされなかった場合、延滞税が発生します。
延滞税の利息は、法定納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは「年7.3%」の利息がかかり、2ヶ月を経過すると倍の「14.6%」の年利が発生します。
納期限の2ヶ月からは消費者金融と変わらない利息が発生するので注意しておきましょう。
②無申告加算税
その名の通り、確定申告を期限までに行わなかった場合に課される税金です。
無申告課税は、期限後に自ら申告した場合と税務署から指摘を受けて申告した場合で税率が異なります。
- 税務署から指摘を受けた場合
納付する所得税50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%
- 自ら期限後に申告した場合
納付する所得税50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は25%
③重加算税
税務調査で発生する税金で最も重いのがこの重加算税です。なんと、申告していた場合で35%、無申告だと40%もの税金が追加発生します。
重加算税は、事実を仮装したり、隠蔽したり、意図的に脱税した場合に課されます。
強制執行(財産差し押さえ)の恐れがある
滞納を続けると、財産の差し押さえをされる可能性があります。
ただし、急に差し押さえが実行されるわけではなく、いくつかのステップを踏んで注意喚起がされます。
再三の注意も無視すると強制執行が実行されます。少なくとも納税の意思があることを税務署に伝え、今後の対応について相談しましょう。
詳しくは次の章でご説明しています。
納税証明書が発行されず借入や収入証明ができない
税金未払いを続けていると「納税証明書」が発行されません。
納税証明書は、ローンや銀行からの借入などの時に必要になります。納税証明書がなければ金融機関からの資金調達は難しくなります。
税金滞納から差し押さえまでの流れと注意点
最後に税金の滞納から差し押さえまでの流れと覚えておくべき注意点を解説します。
強制執行までのフローをご説明します。
①滞納開始
どの税金の支払いについても、1日でも納付期限を過ぎたら滞納扱いとなります。
②督促状の発送
納期を過ぎてから20日前後で督促状が送られてきます。督促状には税金未払いの旨といつまでに納付してくださいという期日が記載されています。
③電話や文書による催告
督促状を無視していると、税務署職員から電話で督促があります。
督促はだいたい1ヶ月に1度のペースで届きます。
④最終勧告
再三の電話や文書での督促も無視して放置していると最終勧告として強制執行のお知らせが届きます。
3、4回目の督促も無視していると最終勧告が届くケースが多いようです。
⑤財産調査
税務署側で、滞納者の身辺調査や差し押さえするべき財産の調査が実施されます。
身辺調査では、家族構成や取引先の調査が行われ、財産調査では、銀行講座や生命保険、不動産謄本、自動車、売掛債権などくまなく捜査されます。
⑥差し押さえの実行
財産調査をもとに差し押さえるべき財産が決定しているため、それに基づき、差し押さえが実行されます。
差し押さえ財産には、自動車や不動産、会社からの給料などがあります。
⑧公売と取立
差し押さえ後も税金が完済されない場合は、取り立てた不動産や動産の公売が行われます。
一概にはいえませんが、最短で納付期限から2ヶ月弱という短期間で強制執行される恐れもありますので、督促状を無視し続けることだけは辞めましょう。
そもそも税金に時効はある?自己破産すれば、義務は免除になる?
最後にそもそも税金には時効があるのか、という疑問にお答えします。簡単にいうと、滞納・未納が続いていてもいつか時がくれば納税義務はなくなるのか、ということです。
結論からいうと、時効はあるが基本的には成立しません。(参考:国税庁HP)
また、たとえ自己破産しても納税義務は免除されません。
まず、税金の時効はシチュエーションに応じて下記の3パターンの年数があります。
- 期限内に申告した場合・・・申告期限の翌日から3年
- 期限外に申告した場合・・・申告期限の翌日から5年
- 隠蔽・脱税した場合・・・申告期限の翌日から7年
上記の通り、時効の年数が定められていますが、実は税金の時効は、中断したりリセットされるケースがあります。
例えば、税務署と相談の上分割払いで一部を納付した場合には、時効が中断し、再度1から時効期間がカウントされます。
また、とくに注意が必要なのが督促状。督促状が届くとその時点で納税の必要性を認識したとみなされて、時効がリセットされます。
時効は実質的に存在せず、また、自己破産しても納税義務がなくならないので、基本的に納税からは逃れることはできないと考えておいた方が良いのです。
税金が払えない個人事業主の対処法まとめ
改めて個人事業主・自営業・フリーランスの方が税金が払えない時の対応方法5点をまとめます。
- ①税務署に相談して分割払いにしてもらう
- ②ビジネスローンやファクタリングで納税資金を調達する
個人事業主おすすめビジネスローン・・・AGビジネスサポート
個人事業主おすすめファクタリング会社・・・・QuQumo
- ③振替納税制度を活用する
- ④延納制度を利用する
- ⑤換価の猶予を申請する
繰り返しになりますが、滞納を放置するのは絶対NGです。税務署もこちらから支払いの意思を見せれば柔軟に調整をしてくれます。
税金を滞納すると督促などで頭を悩ませる日々が続き、本業に集中できないことも多いかと思います。
ファクタリングプラスでは、そうした個人事業主やフリーランスのみなさまが事業を継続できるよう様々な資金調達方法をご紹介しています。
皆さんの事業が再度復活することを心より願っております。