創業・起業時の融資制度といえば、日本政策金融公庫と信用保証協会の保証付き融資が有名です。
いずれも経営実績のない創業予定者に対して、貸付けを行ってくれる制度で、これから独立を考えている方は聞いたこともあるのではないでしょうか。
しかし、たいていの場合、制度の利用条件には、自己資金要件が設定されています。自己資金がない場合、これらの制度は全く利用できないのでしょうか?
本記事では、そのような疑問にお答えしていきます。
もちろん、自己資金があった方が審査通過率や融資額は大きくアップします。
本当はコツコツ貯金をするのが一番ですが、ビジネスチャンスを逃す前に今すぐ起業したいという方へ、自己資金の増やし方もご紹介しています。
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そもそも自己資金とは?0でも創業融資は受けられる?
結論からいうと、自己資金が全くない場合、融資を受けられる可能性はかなり低いです。
融資における自己資金とは、「出どころが預貯金通帳等でしっかりと確認できる現金」を指します。
会社の登記簿謄本の資本金=自己資金ではないので注意しましょう。
具体的に自己資金として認めらえるものには、以下があります。
- 自分でコツコツ貯めたお金
- 返済不要のお金(親からの贈与等)※金融機関によって判断は異なる
- 退職金(源泉徴収票等での証明必須)
- 資産売却資金
- みなし自己資金(すでに設備投資などに使ったお金)
逆に自己資金として認められないものには、
- 通帳に入れていないタンス預金
- 見せ金(一度に多額の金額が口座に振り込まれている)
- 返済義務のある借金
があります。
すでに実績のある会社と違い、創業融資の場合は、起業に対してどれだけ想いを持って、しっかり準備してきたか、が重要な基準になります。
自己資金を貯めているということは、起業準備を計画的に行ってきた人いうことになるのです。
そのため、自己資金が多いほど審査も有利になり、借りられる融資額も高くなります。
目安としては、借入希望額の2分の1以上の自己資金があると希望額で通りやすいです。
自己資金がないと融資確率はかなり低くなりますが、事業計画書や経営者の想いなどその他の面でカバーできれば、可能性は0%ではありません。
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今すぐ創業したい方が自己資金を増やす5つの方法
「今すぐ創業・独立したいけど自己資金がない」「本当は貯金が一番だと分かっているけど時間がない」という人は、以下の方法で自己資金を増やすことができます。
- 家族・親族から資金援助してもらう
- 共同経営者の貯蓄を活用する
- 支払い済の支出をみなし自己資金にする
- 有価証券、車などの自己資産を売却する
- 現物出資できる法人資産がないか探す
①家族・親族から資金援助してもらう
前述した通り、返済義務のないお金は自己資金・余剰資金としてみなされる可能性があります。
実際に自己資金としてみてもらえるかは金融機関ごとの判断になります。
お金の流れを明確にしておくために親名義の口座から振り込んでもらったり、贈与の理由を契約書で締結しておくと良いでしょう。
②共同経営者の貯蓄を活用する
共同経営者がいる場合、その経営者の貯蓄を自己資金として当てることも可能です。
ただし、その場合には共同経営者の預貯金通帳コピーも金融機関や信用保証協会へ提出する必要があります。
③支払い済の支出をみなし自己資金にする
本来自己資金とは手持ちの資金のことを指しますが、事業運営に必要な設備投資等で既に支払いを終えているものがあれば、支出分をみなし自己資金とすることができます。
例えば、飲食店や美容室など店舗ビジネスを行う際の敷金・保証金などはみなし自己資金とすることが可能です。
④有価証券、車などの自己資産を売却する
株等の金融資産、自動車など経営者個人の資産を売却して得た資金は、自己資金に組み込むことができます。
また、生命保険の解約返戻金なども自己資金に認められます。
その際は、売買契約書や保険会社からの振込履歴がわかる通帳を用意しておきましょう。
⑤現物出資できる法人資産がないか探す
会社設立時の自己資金は基本的に現金になりますが、現金だけではなく車や不動産などの資産を出資金として充当することも可能です。これを現物出資と呼びます。
現物出資の対象になる資産には、以下のものが挙げられます。
- 自動車(ローン返済中のものは不可)
- パソコンなどのオフィス機器
- 株式・債権などの有価証券
- ゴルフ会員権やリゾート会員権
- 土地や建物などの不動産
貸借対照表に資産として計上できるかどうかがポイントです。
事業に必要な資産であれば、融資担当者に自己資金として考えてもらうことができます。
自己資金なしで融資を受ける場合の注意点
自己資金がない状態で融資を受ける際の注意点を解説します。
日本政策金融公庫に見せ金は通用しない
見せ金とは、一時的に金融機関以外から借り入れた金銭を自己資金に組み込むことです。
例えば、それまで全く自己資金を貯めてこなかった人が消費者金融・カードローン等から100万円を借りて資本金を多く見積もるやり方などが挙げられます。
こうした見せ金は基本的に融資審査では通用しません。
公庫では、過去の融資審査の実績からどのようなパターンの見せ金があるかを熟知しています。
その場しのぎの資本金増強で見せ金をしてもバレてしまいますので、お金を借りたければ計画的に資金を貯めていきましょう。
親からの贈与は返済不要であることを証明する
親からの返済不要の贈与は、自己資金にみなされますが、しっかりと返済不要である旨を証明できないと効果がありません。
将来返済しなければいけないのであれば、自己資金ではなく借り入れとみなされます。
そのためには、家族間でも贈与契約書を結び、親から贈与してもらう必要があります。
タンス預金は認められない
銀行に預金をせず、タンス預金をして自分でお金を保管しているケースは自己資金とみなされません。
実際に毎月コツコツ決まった金額を貯めていたとしても、タンス預金ではそれを証明することができず、前述した「見せ金」と思われ公庫担当者に信用されません。
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創業融資の悩みは、融資に強い認定支援機関に相談してみよう
自己資金がないと絶対に融資が受けられないわけではありませんが、可能性は限りなく低くなります。
どうしても融資を受けたい場合は、経営者の経歴や実績、事業に対する熱意などその他の面で効果的にアピールする必要があります。
しかし、実際には初めての融資で自分1人でアピールするのは難しいと思います。
そこで頼りにしたいので認定支援機関です。認定支援機関とは国から指定をうけた中小企業の経営サポートに強みをもつ税理士や公認会計士等のことを指します。
認定支援機関は、経営者の代わりに事業計画書を作ってくれたり、審査通過のための戦略を練ってくれたり、非常に心強い存在です。
実際、日本政策金融公庫では、認定支援機関の支援を受けることで金利が安くなるケースもあり、1人では不安な方はぜひ活用をおすすめします。
ただし、認定支援機関によって得意ジャンルは異なりますので、創業融資に強い認定支援機関を選ぶことが重要です。
【関連記事】認定支援機関のサポートを受けるメリットは?融資に強い専門家の探し方は?
自己資金がなくても利用できる借入以外の資金調達手段
創業融資は、起業時の資金調達の1つに過ぎません。
実績がない開業前のタイミングでも利用できる資金調達方法をご紹介します。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、事業やビジネスアイデア、プロジェクトに賛同した不特定多数の個人から資金調達を実施できる近年話題のサービスです。
融資や借入と異なり、いかに多くの人からプロジェクトに共感してもらえるか、が成功の鍵になります。
そのため、銀行・公庫などの融資が受けられない場合でも活用することができ、誰でも成功のチャンスがあります。
ただし、そもそも希望金額に達しないことや調達まで期間が未知数である点はデメリットといえます。
VC・エンジェル投資家
ベンチャーキャピタルや個人投資家から株と引き換えに出資を受ける方法もあります。
とくに上場(IPO)を目指すようなビジネスモデルに多い方法です。ベンチャーキャピタルや投資家個人の経営アドバイスやパートナー企業の紹介など様々なアドバイスを受けられる点もメリットです。
ただし、創業者自身の保有株比率が下がる点や経営が自由に出来なくなる恐れもある点は注意が必要です。
【関連記事】エンジェル投資家マッチングサイトおすすめ比較【2019年版】
ノンバンク(消費者金融等)
代表者個人が消費者金融やカードローンなどのノンバンクから借入をして、それを事業資金に充てる方法です。
実績がない法人借入では通らない融資も代表者個人の信用で申し込むことができます。
ただし、通常の創業融資と比べて金利・利息が高いのが懸念です。
【関連記事】ノンバンク融資の種類とメリット・デメリット【事業者向け】
自己資金なしの創業融資まとめ
どうしても今すぐ事業を始めたいという場合を除き、ある程度時間的に余裕があるのであれば、やはりコツコツ貯金をしてから創業融資を受けるのがおすすめです。
もしくは、ネットビジネスなど元手がかからない事業を考えているのであれば、会社勤めの内から副業のような形でまず事業をスモールスタートしてみるのも良いでしょう。
実績を積み、堅実な売上が見込めるのであれば、その後法人化した際に融資を受けられる可能性も高まります。