日本政策金融公庫の面談完全ガイド|質問内容・答え方・成功の秘訣まで徹底解説

日本政策金融公庫 面談 質問

創業したばかりで、「融資を受けたいけど面談が不安…」という経営者の方は多いのではないでしょうか。

初めて日本政策金融公庫の面談に臨む中小企業・個人事業主の方にとって、こうした不安はつきものです。

面談は融資可否や金額を左右する重要なプロセス。実際、受け答え次第で融資額が数十万円〜数百万円変わることもあります

本記事では、公庫融資を実際に経験した筆者が、以下のような疑問をわかりやすく解消します。

  • 面談でよくある質問と答え方のコツ
  • 融資担当者に響く伝え方とNGな言動
  • 審査通過のために押さえるべき準備ポイント

不安を自信に変え、公庫面談を成功に導くために、ぜひこの記事をご活用ください。

日本政策金融公庫の面談前に確認すべき基本情報まとめ

はじめて日本政策金融公庫の面談を受ける中小企業や個人事業主の方にとって、何を聞かれるのか、何を準備すべきか、不安や疑問は尽きないものです。

特に「服装はスーツが必要?」「何分くらい話すの?」「書類の抜け漏れがないか心配…」といった基本的なことでも、事前に知っておくだけで面談当日の安心感は大きく変わります。

この章では、実際の面談の流れに沿って、以下の3つのポイントについてわかりやすく解説します。

  • 面談時の服装のマナー
  • 面談にかかる所要時間
  • 当日必要な持ち物と、プラスαで用意しておきたい資料

きちんと準備することで、信頼感を与え、融資の審査通過率を高めることにつながります。

面接時の服装

服装は必ずしもスーツでなくても問題ありませんが、「清潔感」と「信頼感」が大切です。

ビジネスカジュアル(ジャケット・襟付きシャツ・スラックスなど)で十分ですが、以下のような服装は避けましょう。

  • ジーパン、サンダル、ハーフパンツ
  • ヨレヨレのシャツや汚れたスニーカー
  • 過度にカジュアルまたは派手な服装

日本政策金融公庫の面談は「お金を借りるための信用を得る場」です。

服装はその第一印象を左右する要素なので、気を抜かず準備しましょう。

面談時間の目安

面談の所要時間はおおよそ【60〜90分程度】です。

内容に応じて前後しますが、認定支援機関や税理士と事前に話がまとまっている場合は30分ほどで終わることもあります。

面談は一発勝負ですので、時間に余裕を持ってスケジュールを組んでおきましょう。

当日に必要な書類(+持っていくと有利な資料)

【必ず持参する書類とその理由】
公庫の担当者は、あなたの「返済能力」と「事業の実現性」を見極めるために書類をチェックします。下記はその主な一覧です。

必要書類 理由
借入申込書・創業(事業)計画書 融資の土台となる基本情報と計画を把握します
本人確認書類(免許証・パスポート) 誰に貸すのかの正確な確認が必要です
銀行口座の通帳(過去半年〜1年) 自己資金や資金管理能力をチェックします
公共料金の領収書等 生活基盤の信用確認や住所証明に使われます
賃貸契約書・営業許可証・資格証明書 実際に事業が行われることを証明するために重要です
見積書(設備資金の場合) 金使途が明確であることを確認します
印鑑、印鑑登録証 契約関連で必要となる場合があります

【+αで持参すると効果的な資料】

担当者に自社や事業の魅力を伝えるには、以下のような補足資料もおすすめです。

  • 経営者自身の職務経歴やプロフィール
  • ターゲット顧客層の分析資料
  • 競合比較と自社の強みをまとめた表
  • 収支計画書や売上予測グラフ
  • 看板・メニュー・設備などのイメージ資料
  • 店舗前の交通量調査データ

「この人は準備ができている」と思わせることが、面談成功の第一歩です。

日本政策金融公庫の面談でよくある6つの質問と答え方のコツ

面談当日の服装や必要書類などを万全に準備できたら、次に気になるのが「実際にどんな質問をされるのか?」という点ではないでしょうか。

本章では、日本政策金融公庫の面談で頻出する6つの質問と、その答え方のポイントをわかりやすく解説します。

面談を成功させるために、ぜひ以下の内容を参考にご準備ください。

まずは全体を把握!6つの質問と対応ポイント

質問 見られるポイント 対応のコツ
創業の動機 想いと論理性 PREP法+実体験
売上・経費 根拠の明確さ データや経験に基づく試算
自己資金 信頼性・蓄積の過程 嘘なし・通帳で証明
事業内容 担当者が説明できるか 図解・簡潔説明がカギ
差別化要因 独自性 強みの具体例を添える
リスク対策 現実的な備え 代替策・数字を用意

質問①:創業・起業の動機

あなたがなぜこの事業を始めたのか?

公庫担当者は、「熱意」と「実現可能性」の両方を見ています。

【回答のポイント】

  • 自分の経験や課題感に基づく理由を語る
  • PREP法(結論→理由→具体例→結論)を使うと論理的で伝わりやすい

【準備チェックリスト】

  • 過去の職歴やエピソードを洗い出す
  • 業界選定の理由を明確にする
  • 成功の根拠となる数字・市場背景を用意する
私は飲食店での勤務経験から、地方食材の魅力と流通課題を実感しました。生産者と消費者をつなぐために、地方特化型ECを立ち上げたいと考えています。

質問②:売上と経費の根拠

融資の前提は「返済できる計画」があるかどうか。

売上見込みが現実的か、担当者は厳しく見ています。

【回答のポイント】

  • 客単価×来客数など、計算式を明示
  • 市場調査や経験を根拠に使う
  • 経費の内訳も具体的に提示する

【準備チェックリスト】

  • 売上計算の根拠(データ・経験)
  • 経費の項目別内訳(家賃・人件費・仕入れなど)
  • 売上予測グラフやシミュレーション表

質問③:自己資金の金額と集め方

自己資金の「出所と貯め方」は信頼性のバロメーター。

見せ金(他人から一時的に借りた資金)はNGです。

【回答のポイント】

  • 通帳で積立履歴を示せると安心
  • 知人からの一時借入などは避ける
  • 配偶者の通帳も評価対象になる場合あり

【準備チェックリスト】

  • 自己資金の通帳コピー(6ヶ月〜1年分)
  • 積立期間や金額の記録
  • 配偶者との共有資産があればそれも武器になる
毎月5万円ずつ積み立て、3年間で180万円貯めました。副業収入も加えて現在は200万円。生活口座とは分けて管理しています。

質問④:事業内容

あなたのビジネスを「担当者が上司が説明できる」ことが大切。担当者は稟議資料にあなたの事業を落とし込みます。

【回答のポイント】

  • 誰に何をどう提供するかを明確に
  • 難しい用語は避けて、わかりやすく
  • 資料(図解・パワポ)もあると効果的

【準備チェックリスト】

  • 1分で話せる事業説明文を準備
  • 顧客ターゲットと提供価値の整理
  • 収益モデルやマネタイズ方法の図解

質問⑤:事業の強み・他社との差別化要因

成功の確率を高める「独自性」の証明が必要です。

【回答のポイント】

  • 競合にはないノウハウ・立地・技術を示す
  • 顧客の声や市場ニーズとの一致も訴求材料になる

【準備チェックリスト】

  • 競合比較表
  • 強みを支えるデータ・実績
  • 顧客アンケート・市場反応

質問⑥:事業リスクと対処法

「リスクはありません」は絶対NG。

予測と対策を用意しているかが重要です。

【回答のポイント】

  • 想定リスク(仕入れ・集客・規制)を事前に洗い出す
  • 代替案(他社仕入先・販路変更など)を提示する
  • リスク対応のスピード感をアピールする

【準備チェックリスト】

  • 想定リスク一覧
  • それに対する具体的な対応策
  • 計画修正や資金ショート時の行動パターン
A社の仕入れに依存しているため、万一のためにB社・C社とも見積もりを取得しています。

日本政策金融公庫の面談を成功させる5つのポイント【チェックリスト付き】

日本政策金融公庫の面談では、書類の内容だけでなく、面談当日の受け答えや態度によって融資可否が左右されることも少なくありません。

ここでは、初めての方でも安心して面談に臨めるように、事前に押さえておくべき5つの重要なポイントを解説します。

①書類と発言に整合性を持たせる

面談は、提出した創業計画書・事業計画書をもとに進行します。

書類に書かれている内容と発言にズレがあると、「この人は事業に本気で取り組んでいるのか?」と不信感を持たれてしまいます。

書類作成を専門家に頼んだ場合も、自分の言葉で説明できるようにしておくことが重要です。

事前にプレゼン練習をして、「説明できるか」をチェックしましょう。

② 専門用語・業界用語は使わず、誰でもわかる言葉に

日本政策金融公庫の担当者は融資のプロですが、全業種に詳しいわけではありません。

業界特有の専門用語や略語は、説明がなければ理解されにくいものです。

第三者(例:家族や友人)に自分の事業を説明して、通じるか試すのがおすすめです。

③ 「いくら借りられますか?」はNGワード

「いくらまで借りられますか?」という質問は、事業計画を無視して現金が欲しいだけのような印象を与えがちです。

日本政策金融公庫は「何に、いくら必要で、それに妥当な根拠があるか」を重視しています。

「事業で必要な◯万円を◯◯に使う」という資金使途と金額の根拠をセットで伝えましょう。

④ 厳しい質問にも感情的にならない

面談では、やや厳しい口調で質問されることもあります。

これは担当者が意地悪をしているのではなく、社内で稟議を通す際に必要な情報を確認するためです。

担当者=あなたの味方です。冷静に回答し、対立的な態度は避けましょう。

不安な方は、認定支援機関や顧問税理士のサポートを検討するのもおすすめです。

⑤ 数字だけでなく、あなたのストーリーを語る

申請書類は論理的な資料ですが、面談は「人間同士の対話」です。

数字だけでなく、「なぜこの事業をやるのか」という想いや情熱も重要な判断材料になります。

担当者も人間です。「応援したくなる人かどうか」も審査に影響します。

自分なりのエピソードを用意しておきましょう。

融資申込前の最終確認チェックリスト

以下のチェックリストで、あなたの準備状況を最終確認してみてください。全てにチェックが入るよう準備を整えましょう。

提出書類の内容と説明内容にズレがない
難しい表現を使わずに説明できる
借入希望金額と資金使途に明確な根拠がある
想定質問に対して冷静に答える練習をした
自分の想いやエピソードを語れる準備がある

日本政策金融公庫の面談Q&A|面談前・当日・審査後に役立つ実践ガイド

日本政策金融公庫の面談で経営者の方からよくある質問をまとめました。

面談前のよくある質問

Q.面談から審査結果が出るまでどれくらいの期間がかかりますか?

通常は1〜2週間程度です。

初めての融資申請では時間がかかる傾向がありますが、過去に融資実績がある場合はスムーズに進むことが多いです。

日本政策金融公庫は、過去の融資情報を3年間保存しています。

3年以上前に借りた場合は、初回申請と同様の手続きが必要になる点にご注意ください。

Q.ネット銀行を使っていて通帳がありません。どうしたらいいですか?

通帳がない場合は、ネットバンクの入出金履歴をPDF形式で提出すれば問題ありません。

Excel形式の提出はNGです。改ざんのリスクがあるため、公庫ではPDFでの提出が推奨されています。

面談当日のよくある質問

Q.面談の手応えがありません。今から何かできることはありますか?

審査中でも担当者に追加資料を送付することは可能です。

たとえば、自己資金が少ないと感じた場合は、開業準備費を自己資金として組み込んだ資料や、親族からの贈与証明などを提出するとよいでしょう。

担当者から「融資希望額の見直し」などの相談が来る場合もあります。その際は、柔軟に対応する姿勢が大切です。

面談後・審査に関する質問

Q.融資を断られた場合、理由は教えてもらえますか?

公式には審査落ちの理由は非公開ですが、やり取りの中でヒントをもらえることはあります。

再申請には最低6ヶ月以上の期間を空ける必要があるため、不安点を改善したうえで再挑戦しましょう。

【関連記事】日本政策金融公庫に審査落ちする9つの原因とは?

Q.通帳は審査後もチェックされますか?

いいえ。通帳の確認は面談時・審査中のみ行われます。

融資実行後は、通帳の提出や再確認は求められません。

日本政策金融公庫の面談担当者は「あなたの味方」です

公庫の面談担当者はあなたの敵ではなく、融資を通すために協力してくれる“味方”の存在です。

なぜそう言えるのか? その理由は以下の3つに集約されます。

理由①:政府の方針として「創業支援」が明確に掲げられている

日本政策金融公庫は、政府100%出資の金融機関です。国の政策に基づき、「創業支援」「中小企業支援」の役割を担っています。

特にここ数年は、国として「開業率を高めたい」「地域経済を活性化させたい」という方針のもと、公庫も創業融資を積極的に実行する流れになっています。

たとえば、以前公庫が発表したデータによると、創業から1年以内の融資実績は年2万件以上にも上り、過去最高を記録した年度もあるほどです。

理由②:面談担当者はあなたを「通したい」と思っている

「審査される」というと構えてしまいますが、面談担当者も決して意地悪ではありません。

彼らの役割は、あなたの事業計画を社内(上司)に稟議として通すこと。

つまり、「どうすればこの人に融資できるか?」を探っている立場なのです。

担当者は、上司からの厳しい質問にも答えられるよう、あなたの発言・資料を“説得材料”として集めています。

理由③:「決算が赤字だから厳しい」などの噂に惑わされないこと

最近では「公庫の決算が赤字だから、融資が厳しくなる」という噂が一部で流れました。

ですが、融資に強い税理士などの現場の声によると、通常の創業融資には特に影響は出ていないとのことです(※ただし、不動産投資などの一部ジャンルには慎重になっている傾向があります)。

日本政策金融公庫の面談は、あなたと担当者が一緒になって事業の可能性を描く場です。
怖がる必要はありません。むしろ、味方を得るチャンスだと捉えましょう。

日本政策金融公庫の面談対策まとめ

日本政策金融公庫は、ベンチャー企業や中小企業の経営を支える非常に魅力的な存在です。

これから面談を迎える方は、ぜひ本記事で紹介したポイントや注意点をしっかりと押さえて、後悔のないように準備を整えましょう。

また、税理士や会計士の中には面談練習を提供しているところもあります。不安があれば、こうしたサポートを受けてみるのも良いでしょう。