確定申告書の控えを紛失した時の再発行の流れを実体験に基づいてご説明します。
個人事業主やフリーランスの方、副業をしているサラリーマンの方々は毎年の収入証明に確定申告書の控えが必要ですね。
住宅・教育ローンの申請時や保育園の入園時など、前年度の申告書の写しを求められる場面も少なくありません。
毎年税務署から受付印が押された控えが返送されてきますが、中には紛失してしまう方もいると思います。
控えを無くした時には、開示請求と呼ばれる再発行の手続きが必要になりますが、実はすぐには手元に届きません。
今回は、確定申告書の再発行手続きをわかりやすく解説し、実際に申請から受け取りにかかった期間をご紹介します。
また、補足として、e-tax(電子申告)をした場合の写しの発行方法もご説明します。
確定申告書の控えが必要になるケース
確定申告書の控えが必要となる場面は多岐に渡ります。
- 金融機関からの事業資金の借入・融資の申請
- 住宅ローンの申請
- 教育ローンの申請
- 自動車ローンの申請
- 保育園の入園申請
- 大学の奨学金申請
- 引っ越し等での収入証明
etc
個人事業主・フリーランスが収入証明をする方法は、前年度や直近確定申告書を提出するしかありません。
場合によっては、自治体で入手できる「課税証明書」でOKというケースもあるようですが、かなり稀でしょう。
そのため、確定申告書の控えは必ず押さえておくようにしましょう。
ちなみに筆者は、引っ越しの際に前年度の確定申告書の控えを紛失したことに気づきました。
審査通過のため、課税証明書と1年間の通帳の入出金口座を提出しましたが、確定申告書の控えも必要ということで再発行手続きを行いました。
確定申告書の写しを再発行する流れ【窓口申請が最短】
確定申告書の控えの再発行する手続きは、「開示請求」と呼ばれます。
開示請求は確定申告を行なった管轄の税務署で行います。申請の方法は、「窓口」と「郵送」の2種類があります。
結論からお伝えすると、窓口請求が最も取り寄せスピードが早いです。以下で、税務署窓口での請求方法をご説明します。
手続きは、以下の4ステップで完了で。
- 申請に必要な書類を準備する
- 管轄の税務署窓口で手続き
- 郵送で開示請求の決定通知が届く
- 窓口もしくは郵送にて確定申告書の控えを受け取る
詳細をご説明していきます。
①申請に必要な書類を準備する【本人と代理人申込それぞれ説明】
開示請求の申請に必要な書類は以下です。
- 保有個人情報開示請求書
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証etc)
- 手数料300円
事前に準備するべき書類は、「保有個人情報開示請求書」です。
保有個人情報開示請求書の手数料欄に、「ここに収入印紙を貼ってください」とありますが、こちらは窓口で現金支払いすればいいので空欄で問題ありません。
その他の項目は以下でOKです。
1.開示を請求する保有個人情報・・・〇〇年度確定申告書bの控え
2.求める開示の実施方法等・・・空欄でOK
3.手数料・・・空欄でOK
4.本人確認等・・・請求者→本人、確認書類→該当書類にチェック
なお、他のHPで「マイナンバーが記載されていない住民票(直近1ヶ月以内)」が必要と書かれていることがありますが、税務署窓口で申請する場合は、必要ありません。
また、本人ではなく代理人が請求する場合は、上記に加えて下記の書類が必要です。
- 代理人の本人確認書類
- 委任状
- 委任者の印鑑登録証明書
②管轄の税務署窓口で手続き【2〜3分で終了】
①で揃えた書類を持って、管轄の税務署窓口に行き、「開示請求手続きできました」と伝えます。
担当職員から身分証明書の確認、紛失した年度の確認、必要な書類の確認と今後の流れについて簡単に説明があります。
2〜3分もあれば、手続きは完了します。
ただし、この日に確定申告書の控えをすぐもらえるわけではないので注意してください。
③郵送で開示請求の決定通知が届く
窓口での手続きが完了したら、後日「開示請求の決定通知」が届き、その後にようやく控えが届くという手順になります。
担当職員によると開示請求の決定通知までは1ヶ月程度かかる可能性がある、ということでした。
国税庁のHP等でも1ヶ月程度はかかると書いてあったので、その位の期間を覚悟していましたが、実際に届いたのは、窓口で手続きをした2週間後でした。
④窓口もしくは郵送にて確定申告書の控えを受け取る
決定通知が届いたら、その決定通知を持って窓口に行けば、通知と引き換えに確定申告書の控えを手に入れられます。
もしくは郵送でも取り寄せ可能ですが、急ぎの場合は通知書を持って税務署へ行けば、その場で写しを受け取ることができます。
確定申告書の取り寄せ期間は約2週間!【実体験】
結果として、税務署窓口で開示請求をしてから、実際に確定申告書の控えが届くまでの期間は、「2週間」でした。
とはいえ、他HPでの平均期間をみると30日前後というところが多いので、これはかなり早いケースだったのかもしれません。
なお、収入証明に必要な書類は、確定申告書の申告書B(第一表)のみなのですが、書類一式を請求することもできます。手数料は変わりません。
念のため、書類一式取り寄せておくと安心ですね。
e-tax(電子申告)を利用した時の控えは?受付印は無くて平気?
確定申告を国税電子申告納税システムe-tax(電子申告)で行なった場合、税務署の受付印(収受日付印)が押された確定申告書の控えはありません。
そもそもデータ申告となるので控えという考えがそもそも無いのです。
そこでe-taxの場合に控えの代わりとなるのは、
- 受信通知データ
- 申告データ
の2点です。
受信通知は、税務署側が「データを受け付けましたよ」という証明になります。これが収受日付印(受付印)の代わりになります。
後は提出した申告データを出力し、受信通知と申告データをセットにすれば確定申告書の控えにできます。
なお、受信通知データの出力方法は下記になります。
受信通知データのプリントアウト方法
- e-taxにログインします
- メッセージボックスから対象の申告データを選択します
- 詳細ボタンをクリックして「メール詳細」画面を開きます。
- この画面をプリントアウトすれば、収受日付印の代わりになります。
所得額を確認したいだけなら閲覧請求でOK
もし前年度の正しい所得額を確認したいだけなら、開示請求ではなく「閲覧請求」という方法があります。
開示には時間がかかりますが、過去の確定申告書の閲覧だけであれば、税務署に行けば当日対応可能です。
ただし、書類は受け取れず、またコピーもとれません。できるのは閲覧と手書きで書き写しのみになります。
確定申告書の再発行手続きまとめ
確定申告書を紛失した場合の再発行手順をまとめました。
再発行には、1ヶ月も時間がかかると知って一時は手遅れかと思いましたが、実際に再発行をしてみると思っていたよりもスムーズに控えを獲得することが出来ました。
何よりも確定申告書の控えはしっかりと保管しておくべきだと痛感した出来事です。
個人事業主・フリーランスの方々に限らず、副業を行なっている会社員の方も確定申告書の控えが必要になる場面はありますので、大事にお手元に置いておくようにしてください。
本記事が皆さんのお役に立てば幸いです。