東京都は新型コロナウイルス感染拡大をうけて、テイクアウトや移動販売・デリバリー・宅配へと業態転換した中小飲食店向けへの最大100万円の助成金制度の受付を2020年4月23日より開始しました。
本制度の名称は、「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」、中小企業振興公社が交付元となります。
都内の飲食店向けコロナ支援では、感染症防止協力金が先立って行われましたが、本制度は協力金を受給していても交付を受けられます。
東京都都内の飲食店経営者の方はぜひご覧ください。
そもそも助成金とは?融資や協力金と何が違う?
今回の助成制度は、助成金となり、飲食店向けの融資や感染拡大防止協力金とは若干内容が異なります。
そもそも助成金は、国や自治体が交付元となる返済不要の資金です。
一定条件を満たした事業者は必ず受給ができ、対象となっている経費に使用した金額の何割かを補助してもらえます。
融資や協力金との大きな違いは、「後払い」である点。
そのため、申請から交付までは数ヶ月タイムラグがあります。詳しい内容は次からご説明します。
東京都の飲食店向け新型コロナ支援「業態転換支援事業」の内容は?
中小企業振興公社が実施する「業態転換支援」は、新型コロナの影響をうけた都内中小飲食事業者が新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」によって売上確保をする取り組みに対して、経費の一部を助成する制度です。
支給要件や対象となる経費についてご説明していきます。
助成対象要件
助成対象となる飲食店は、以下の全ての要件を満たす必要があります。
要件 | 詳細 |
(1)当事業が規定する中小企業者に該当すること | 資本金または出資額が5,000万円以下の会社、または常時使用する従業員の数が50名以下の会社及び個人 |
(2)東京都内で飲食事業を行い、右記の要件を満たすこと | 【法人の場合】
【個人事業主の場合】
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(3)1期以上の決算を経ていて、税務署受付印のある直近1期分の確定申告書の写しが提出できること | 法人:1期分の確定申告書(別表で損益計算書と貸借対照表)
個人事業主:2019年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書(別表で終始内訳書または青色申告書) |
(4)保健所の許可を取得していて、各許可書等の写しが提出できること | 必要となる食品関係許可 |
(5)右の1~10全てに該当すること |
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【関連記事】確定申告書の控えを紛失した時の再発行手順【税務署へ開示請求】
助成限度額と対象経費
助成限度額は、100万円。経費の4/5が助成されます。
対象経費は以下の通りです。
【業態転換支援事業の対象経費】
- 新たに「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を開始する際の初期経費等
- 宅配代行サービス利用の経費(初期費用・月額使用料・配送手数料等)
- 看板、チラシ、PR映像制作費、広告掲載費など新たな取り組みのための販売促進経費
- WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材など新たな取り組みのための器具備品等
- その他宅配用バイク等のリース・レンタル料など(3ヶ月以内に限る)
なお、対象経費ではそれぞれの費目ごとに上限限度額が以下の通り決められています。
経費 | 詳細 | 上限限度額 |
チラシ等印刷物の制作委託費 | テイクアウト・宅配等を実施する内容が記載された紙媒体の使用を外部に委託する費用 | 30万円 |
PRのための広告掲載費 | チラシ折り込み、新聞、雑誌、DM、WEB広告への広告掲載費 | 20万円 |
PR動画制作委託費 | テイクアウト・宅配等を実施する内容が記載された動画制作を外部に委託する費用 | 20万円 |
WEBサイト等制作委託費 | 既存のWEBサイトの変更(新たな取り組みについての記載、予約受付システムの搭載等)、新規WEBサイト制作の場合は、ドメイン取得日、サーバレンタル料、コンテンツ制作費、予約システム搭載費 | 50万円 |
看板等の制作費 | のぼり・看板・POPの制作および設置費、店頭等に設置するデジタルサイネージの購入、リース料、設置費 | 20万円 |
バイク・自動車 | デリバリーバイク等のリース・レンタル料(自動車等を使った食品調理・販売には保健所の許可が必要になります) | 最長3ヶ月間 |
その他の車両 | 自転車、リアカー、台車の購入、リース・レンタル料 | 購入:30万円
リース:最長3ヶ月間 |
通信機器・サービス等 | 新たな取り組み実施に必要なインターネット通信環境の整備の初期導入費またはリース・レンタル料 | 導入費:10万円
リース:最長3ヶ月間 |
梱包・包装資材等 | テイクアウト、宅配に必要となるはし等の食器類、包み紙、手提げ袋、おてふき、ナイロン袋、調理器具等の購入費用 | 15万円 |
宅配代行サービス利用 | 宅配代行サービスの初期登録料、月額使用料、配送手数料等 | 最長3ヶ月間 |
営業許可等取得手数料 | 既に取得している営業許可証には含まれない、移動販売等にかかる許可取得経費 | – |
店舗等内装工事 | テイクアウト用の小窓の設置、ショーウィンドーの設置、移動販売用車両の改造費、器具設備費用等 | 50万円 |
その他、対象外となるケースについては後半で詳しく解説しています。
助成対象期間
交付決定から令和3年1月31日までとなります。
ただし、契約・発注日から最長3ヶ月間が対象です。
なお、令和2年4月1日以降、交付決定前に着手した経費についても、契約書や発注書、領収書等で契約・支払いの確認がとれれば助成対象となります。
【関連記事】個人事業主100万・法人200万。持続化給付金の申請の仕方とは?
飲食店経営者必見!コロナ助成金の申請方法は?
本助成制度の申請に必要な書類や申請から支払いまでの流れをご説明します。
申請に必要な書類と入手先一覧
申請に必要な書類は以下の6点です。
※表は右へスクロールできます。
書類 | 備考 | 入手先 | |
1.交付申請書 | – | 公社webサイト | |
2.登記簿謄本等 | 法人:発行後3ヶ月以内の「履歴事項全部証明書」 | 法務局 | |
個人事業主:都内税務署に提出した「個人事業の開業等届出書」の写し | 各自保管分(紛失した場合は税務署へ問い合わせ) | ||
3.納税証明書 | 法人 |
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都税事務所 |
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個人 |
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4.直近1期分の確定申告書の写し | 法人 |
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各自保管分または所轄税務署 |
個人 |
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各自保管分 | |
5.食品関係営業許可証の写し | 新たな取り組みを行う店舗、施設での営業形態に応じた許可書 | 各自保管分 | |
6.申請金額根拠書類の写し | 見積書、金額が分かるwebサイトのコピー等 | 各自取得 |
送付先はこちらです。
〒101-0024
東京都千代田区神田和泉町1-13
住友商事神田和泉町ビル9F
公益財団法人東京都中小企業振興公社
事業戦略部 経営戦略課 業態転換担当<交付申請書類在中!>
提出時の留意点は以下を参考にしてください。
助成金の申請から支払いまでの流れ
申請から助成金支払いの流れは以下の通りです。
【業態転換支援事業の流れ】
- 申請書のダウンロードと作成
- 申請書・添付資料の提出(郵送)
- 書類審査の上、交付決定
- テイクアウト・宅配・移動販売の取り組み実施
- 助成対象経費の報告(助成経費の契約・実施・支払い完了後の実績報告)
- 完了検査
- 助成金額の確定(検査完了から2〜3週間程度)
- 助成金の支払い(請求書到着から2〜3週間程度)
※助成金の金額は実績に基づくため、交付予定金額から減額となる可能性があります。
申請受付期間と交付期間
本助成制度の申請受付期間は複数回実施されます。
申請受付期間 | 交付決定予定日 | |
第1回 | 令和2年4月23日(木)~令和2年5月18日(月) | 令和2年6月1日(月) |
第2回 | 令和2年5月19日(火)~令和2年6月1日(月) | 令和2年6月15日(月) |
第3回 | 令和2年6月2日(火)~令和2年6月15日(月) | 令和2年6月29日(月) |
第4回 | 令和2年6月16日(火)~令和2年6月29日(月) | 令和2年7月13日(月) |
第5回 | 令和2年6月30日(火)~令和2年7月13日(月) | 令和2年7月27日(月) |
第6回 | 令和2年7月14日(火)~令和2年7月27日(月) | 令和2年8月11日(火) |
第7回 | 令和2年7月28日(火)~令和2年8月11日(火) | 令和2年8月24日(月) |
第8回 | 令和2年8月12日(水)~令和2年8月24日(月) | 令和2年9月7日(月) |
第9回 | 令和2年8月25日(火)~令和2年9月7日(月) | 令和2年9月23日(水) |
第10回 | 令和2年9月8日(火)~令和2年9月23日(水) | 令和2年10月5日(月) |
第11回 | 令和2年9月24日(木)~令和2年10月5日(月) | 令和2年10月19日(月) |
第12回 | 令和2年10月6日(火)~令和2年10月19日(月) | 令和2年11月2日(月) |
第13回 | 令和2年10月20日(火)~令和2年11月2日(月) | 令和2年11月10日(月) |
第14回 | 令和2年11月3日(火)~令和2年11月16日(月) | 令和2年11月30日(月) |
第15回 | 令和2年11月17日(火)~令和2年11月25日(水) | 令和2年12月7日(月) |
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業態転換支援を受ける際の3つの注意点
最後に本助成制度を受ける上で注意しておくべき点をご説明してます。
①助成対象経費でも対象外になるケースがある
助成対象となる経費を前述しましたが、対象経費であっても助成対象外となるケースがあります。
ケースとしては以下のものが挙げられます。
- 申請者以外のブランド名や事業者名が記載されている制作物
- 本事業以外の用途にも使用できる制作物
- 新たな取り組みに直接関わらない制作物・配布物
- 委託ではなく申請事業者自身で購入、制作したもの
- 助成対象期間外でのリースやレンタル
- 見積書・契約書・納品書等の書類不備がある場合
- 親会社やグループ関連会社との取引にかかった経費
- 申請事業者から委託された業者がさらに別の業者に委託した場合(再委託)
- 委託した業務を委託先が生業としていない場合
- 一般価格と比べて著しく高額な場合
etc
②複数店舗を展開していても助成金交付は1店舗のみ
本事業は1事業者につき1回の申請のみです。
また、本店・支店が都内にある事業者で、都内に展開している店舗のみが対象となります。
例えば、3店舗経営していて、1店舗が都外、2店舗が都内の場合は2店舗が対象です。
その2店舗の内1店舗が既にテイクアウトを実施しており、残りの店舗でもテイクアウトを始めたい場合は本店舗のみが対象となります。
③不正受給した場合は関係者が公表される
交付決定後に虚偽や不正などで助成金の交付を受けようとしたことが発覚した場合や、助成金を他の用途に使用していることが判明した場合には、助成金の交付が取り消されます。
また、それだけではなく、不正の内容や申請事業者、これに協力した関係者などの公表を行う場合もあります。
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新型コロナウイルスの影響で変化を求められる飲食店
新型コロナウイルスの拡大をうけて、飲食店経営のあり方が問われています。
既存の業態だけではなく、デリバリー、テイクアウト、宅配などで各社生き残りの道を模索していく必要が求められています。
そうした際にはぜひ本助成制度などを活用して、経営を立て直していただければと思います。