スタートアップ企業が資金調達をする時には、企業の状況によっていくつかの会社ステージや投資ラウンドに分かれます。
主にベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家から出資を受ける際にこうした段階が重視されますが、名前は聞いたことはあっても詳しい内容は知らなかったという方もいるのではないでしょうか。
今回は、スタートアップ・ベンチャー経営者にとって欠かせない投資ラウンドの考え方や、シード、ステージA・ステージB・ステージCのそれぞれの詳しい内容を解説していきます。
資金調達における投資ラウンドとは
投資ラウンドとは、簡単にいうと「VCや個人投資家が企業に対して投資を行うフェーズ」を指す言葉です。
もともとはアメリカのシリコンバレーが使われていた用語ですが、近年では日本でも当たり前に使うようになりました。
資金調達のラウンドは主にA、B、Cとアルファベット順に上がっていき、最終的なIPO(株式上場)や売却のタイミングは会社によってまちまちです。
シリーズCまでいっても上場せずにD、Eと進むケースもあれば、シリーズBで上場を果たすケースもあります。
投資ラウンドは、一般的に以下の5つのラウンドに分かれます。
【代表的な5つの投資ラウンド】
投資ラウンド | 会社ステージ |
プレシード | プロダクト構想段階 |
シード | プロダクトテスト版 |
シリーズA(エクスパンション) | プロダクトの確立 |
シリーズB(グロース) | プロダクトの拡大 |
シリーズC(レイター) | M&A、IPOに必要な売上・利益の確保 |
シードとシリーズAの間の段階をアーリーステージと言ったり、名称には厳格な決まりがあるわけではありません。
また、投資ラウンドが上がるにつれて、企業の時価総額も上がり、資金調達額も大きくなっていきます。
ベンチャーキャピタルの中でも、どの投資ラウンドに強いかは会社によって異なります。
例えば、シードの企業へ積極的に投資するVCや、シリーズBの出資に特化しているVCなど様々です。
そのため、もしVCからの調達を考えるのであれば、自社のステージに合ったベンチャーキャピタルを選ぶことが大切です。
代表的な5つの投資ラウンドの特徴と調達額
以下では、代表的な5つの投資ラウンドの特徴とおおよその資金調達額をご紹介します。
- プレシードラウンド
- シード
- シリーズA
- シリーズB
- シリーズC
プレシードラウンド
プレシートラウンドは、いわば構想段階のフェーズです。
まだアイデアしかないがこんなビジネスをやろうと思っているという段階で投資を受けることになります。
資金調達額は少なく金額規模は数百〜数千万円の場合が多いです。
シード
シードラウンドは、アイデア段階のサービスを実際にカタチにしていくフェーズです。
一般的に創業者と数名のメンバーでサービスが位置付けられる市場やユーザー獲得に向けて、実際の開発を行います。
プロトタイプを作ったり、α版、β版をリリースしていく段階での投資です。
こちらも調達規模としては数百万円〜数千万円になります。
シードのスタートアップに投資を行い、良い会社に育てていこうというVCのことを「シードアクセラレーター」とも呼びます。
シード期の会社に投資を行う主な国内VCとしては、
- サムライインキュベート
- Open Network Lab
- KDDI ∞ Labo
- サイバーエージェントベンチャーズ(CAV)
- イーストベンチャーズ
- サンブリッジ・グローバルベンチャーズ
- インキュベイトファンド
- J-Seed Ventures
- MOVIDA JAPAN
などがあります。
シリーズA
シリーズAでは、企業はプロダクトをリリースし、マーケティング活動を本格的にスタートさせていきます。
顧客を拡大していくための流通の確保や提供エリアの拡大など、ビジネスの方向性が決まってくる段階です。
資金調達規模は、数千万円〜数億円になります。
シリーズB
シリーズBは、会社の規模がある程度大きくなり、更なる規模の拡大や黒字化を目指すフェーズです。
日本では、この段階で会社の売却や上場をするケースも見られます。エグジットが近いこともあり、黒字化に向けた事業計画が特に重視されます。
この時期になると、調達額は数億円〜数十億円になり、1社のVCだけではなく、複数のVCから出資を受けるケースもよくあります。
この頃になると金融系ベンチャーキャピタルやジャフコといった大手VCからの出資が多くみられます。
シリーズC
シリーズCは、シリーズBの規模をさらに拡大、加速していくため巨額な資金を調達します。
調達規模は数億円〜数十億円になり、本格的な株式上場や企業売却を目指して全国展開や海外進出、企業買収、人員増加など大きな変革のために資金が投入されます。
自社の投資ラウンドに合ったVCを見つけよう
国内には多くのベンチャーキャピタルがありますが、重要なのが自社の企業ステージ・投資ラウンドに合ったVCを都度選ぶことです。
必要な調達額が違うというのも理由の一つですが、もう一つはVCから得られる経営アドバイスなども変わっくるのも大きな理由です。
例えば、シード期の会社であれば、シード専門のVCから出資を受けることでシード期に必要な事業計画の立て方や人脈の紹介を受けられる可能性が高いです。
ぜひ自社のビジネスをサポートしてくれるVCにお願いしたいところですね。