給料ファクタリングは違法!給与現金化の法的問題点とは?

給料ファクタリング 違法

個人が利用できるファクタリング「給料ファクタリング」というものをご存知でしょうか。

実質的に給与を前借りできる制度として、最近巷で話題になっている資金調達方法です。

しかし、個人ファクタリングは法的にグレーな部分もあり、便利だからと安易に利用するのは危険ともいえます。

今回は、個人向けファクタリングの仕組みから注意点を詳しく解説していきます。

個人が利用できる給料ファクタリングとは?

給料ファクタリングは、会社員・サラリーマンが会社から受け取る毎月の給与を給料日前に現金化できる仕組みです。

給料ファクタリングの流れは次の通りです。

  1. 個人の給与債権を事実上の担保として、ファクタリング会社から給与から手数料を差し引いた金額を受け取る
  2. 給料日がきたらファクタリング会社へ給与分のお金を支払う

一般的な消費者金融などのローンやキャッシングはお金の貸し借りになりますが、ファクタリングは、金銭貸し借りではなく「債権譲渡」という位置付けになります。

そのため、利息制限法や出資法が適用されず、上限金利を超えた手数料をとっても違法ではありません

給料ファクタリングではこの法の抜け穴を利用して、ヤミ金のように高額な手数料を請求するケースが多く、支払いができなくなった消費者が弁護士等のもとに駆け込むケースが多発しています。

また、給与債権は労働基準法で債権譲渡が認められていません。

ファクタリング会社が給与を支払う企業側に取り立てを行うことはないので、債権譲渡の事実が公になることはありませんが、これが公になれば企業側が労基法に問われることになります。

このように、給与ファクタリングに関する行政処分や明確に規律を定めた法律は存在せず、トラブルが発生しているのが現状です。

この意味で現在、個人向けファクタリングは極めてグレーな資金調達方法なのです。

【追記】金融庁、給料の前払いは貸金業との見解を発表!

2020年3月6日、消費生活センターなどに相次ぐ給料ファクタリングの相談を受けて、金融庁は、給料ファクタリングは貸金業に該当すると判断しました。

貸金業法が適用されると、業者は貸金業者への登録が必須となり、手数料も上限金利内に抑える必要があります。

貸金業 上限金利

(引用:日本貸金業法「上限金利について」)

実質的に法外な手数料をとることでビジネスとして成立していた給料ファクタリングですが、貸金業法の適用を受けて業界衰退が予測されます。

貸金業者に登録されている正規の業者か知りたい方は、金融庁の貸金業者情報検索サービスから調べられます。

ファクタリングに強い 弁護士 司法書士

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2022年6月8日

給料ファクタリングの安易な利用は絶対NG!

「他店で断られてもOK」「3万円の小口から可能」などの甘い言葉に誘われて、よく分からないままに個人向けファクタリングを利用するのは危険です。

金利換算すると法外な手数料がかかっている

日本経済新聞で紹介された個人ファクタリングを利したとある男性の声をご紹介します。

業者に住所と会社名、月給、支給日などを送ると、その日に10万円が口座に振り込まれた。

業者が提示した融資条件は約1カ月後に手数料を含む15万円の返済で、2~3カ月で首が回らなくなり、弁護士のもとに駆け込んだ。

手数料を金利に換算すると年率600%。利息制限法が定める上限(最大20%)を大幅に超えていた

(引用:日経新聞「給料ファクタリングご用心 狙われる「前借り感覚」)

上記からわかるように、給料ファクタリングの手数料は15%〜20%程度。

これは年利換算すると利息制限法の上限を大幅に超えることになり、繰り返し利用すればいずれ破綻してしまうことは目に見えています。

悪質業者が出没、被害相談も相次ぐ

近年ではファクタリング手数料に関する法規制がされていないことから、ヤミ金業者がファクタリング業者を装い、高額な手数料を請求するケースが増えています。

一般社団法人日本ファクタリング業協会にも給与ファクタリングに対する被害問い合わせが2019年5月ごろから増え、10月からの約2ヶ月間で200件程度の相談があったといいます。

同協会では、給料ファクタリングの利用に関して注意喚起をしています。

協会HPによるとヤミ金など悪質業者の特徴として、以下の点が挙げられています。

  • 3万円〜5万円の小口借入が主流。このくらいなら返せそう、という消費者心理をついてくる。
  • 返済が遅れた時の取り立てのために本人だけではなく、親兄弟など家族の連絡先も聞いてくる
  • 一度利用すると他の業者からも勧誘がくる。業者間でリスト共有しているとみられる
  • 「低金利で融資」「他店で断られた方でもOK」「らくらく・簡単」「即日融資」などの甘い文句で多重債務者などをターゲットにしている

日本ファクタリング協会HPでは更に詳しい相談事例を掲載していますので、合わせてご覧ください。

それでも給与ファクタリングに手を出してしまうのは何故?

しかし、上記のような相談事例が増えていながらも、給与ファクタリングを利用する人が増えているのは何故でしょうか。

ブラックリストの人でも利用できる

一つには、ブラックリスト入りして消費者金融などから借入できない個人などでも利用ができるためです。

給料ファクタリングは、企業からの給与を前払いで立て替えているので、本人の信用情報ではなく、審査にあたっては企業の信用力が重視されます。

その他、総量規制いっぱいまで借入をしている人や自己破産者、多重債務者など、融資を受けられない人がファクタリングを利用する傾向があります。

すぐに現金を手に入れる

給料ファクタリングの多くは、申し込みをしてから即日〜数日で指定口座に入金されます。

最短即日現金化できるのは魅力的にみえますが、、高額な手数料や契約書の有無などの確認はお忘れなく。

信用情報に傷がつかない

ファクタリングはキャッシングやローンと異なり、借入ではないため、信用情報に利用履歴が残ることはありません。

そのため、住宅ローンの審査を控えている方や新しくクレジットカードを利用する方など、信用情報に傷をつけたくない人が利用するケースもあるようです。

給料ファクタリングは貸金業者への登録が必須に!

これまでご説明したように給料ファクタリングは、2020年3月に金融庁により、貸金業者への登録が必須となりました。

個人を相手にした金銭トラブルは、利用者が泣き寝入りをしたり、弁護士や警察が動きづらいという理由からヤミ金業者が参入している状況でもあります。

もちろん、手数料が高くても一時的にお金が調達することが重要なのであれば給料ファクタリングを検討するのも1つの手かもしれません。

ただし今後、給料ファクタリングの手数料は、貸金業法による上限金利内に抑えないと違法になります。

ヤミ金まがいの違法な手数料を搾取されないように十分注意してください。