新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの事業者が影響を受けています。
東京商工リサーチが実施したアンケートによると、約7割の企業がコロナの影響で2020年2月の売上高が前年同月よりも減少したと答えました。
とくに中小企業では資金繰りの対策が急務となっています。
そこで、今回はコロナウイルスの拡大に伴い政府や自治体、民間企業が打ち出した融資等の資金調達制度をまとめてご紹介します。
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新型コロナ対策!国や企業が実施する資金調達制度
コロナ倒産を防止するため、中小事業者を中心とした様々な融資制度が提供されています。
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 信用保証協会の保証付き融資(セーフティネット保証4号)
- 自治体の特別融資制度
- ベンチャーキャピタルによる支援
それぞれ詳しく解説していきます。
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①:日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫では、新型コロナウイルスにより影響を受けた事業者向けの専用相談窓口を設けています。
具体的には、
- 経営環境変化対応資金
- 海外展開・事業再編資金
- 新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付
が主な融資制度として紹介されています。
それぞれの内容は以下の通りです。(公庫には、国民生活事業と中小企業事業の2つの部門がありますが、ここでは、大半の中小企業が該当する国民生活事業の条件をご紹介します)
【経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)】
社会的、経済的環境の変化により、一時的に業績悪化をしている事業者のための融資制度です。
資金は、設備資金・運転資金双方に利用できます。
融資限度額 | 4,800万円 |
融資期間(据置期間) | 設備資金:15年以内(3年以内)
運転資金:8年以内(3年以内) |
【海外展開・事業再編資金】
経済の変化などに適応するため、海外における事業の開始、海外事業の再編などに取り組む中小事業者のための融資制度です。
融資限度額(運転資金) | 7,200万円(4,800万円) |
融資期間(据置期間) | 設備資金:20年以内(2年以内)
運転資金:7年以内(2年以内) |
利率 |
【新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付】
新型コロナウイルス感染症により資金繰りに窮している「旅館業・飲食店・喫茶店営業」を営む事業者のための融資制度です。
利用条件 | 旅館業・飲食店営業・喫茶店営業を営む方の内、以下の両方に該当する方。
(1)最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれること (2)中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること |
融資限度額 | 別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円) |
融資期間(据置期間) | 7年以内(2年以内) |
取り扱い期間 | 令和2年2月21日〜令和2年8月31日まで |
安倍首相、無担保・無保証融資の実施を表明!
また、2020年3月7日、日本政策金融公庫などで特別貸付制度を創設し、売上が減少した個人事業主を含む中小・小規模事業者に実質無担保・無利子の融資を行うことを表明しました。(参考:朝日新聞DIGITAL「中小企業に実質無利子の融資 首相、新型コロナ対策で」)
②:信用保証協会の保証付き融資(セーフティネット保証4号)
経済産業省は、中小企業への資金繰り支援措置として47都道府県を中心にセーフティネット保証4号を発動しました。
セーフティネット4号とは、突発的な自然災害に起因して売上が減少している中小企業を支援するための措置。
コロナウイルスの影響を受けた事業者は、信用保証協会の一般保証枠とは別枠の保証が利用可能となります。
具体的な対象者は以下の通りです。
- 申請者が、下記の指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
- 下記の指定を受けた災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という。)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
(引用:中小企業庁「セーフティネット保証制度」)
利用の際は各自治体の相談窓口へ連絡してください。
③:自治体の特別融資制度
各市区町村などによっては、自治体独自の特別融資あっせん制度を行なっているところもあります。
詳しくは市区町村の経営支援窓口で調べることが可能です。
例えば、東京都港区や文京区では以下のような独自の特別融資あっせんを行なっています。
【港区】
港区は区独自の特別融資あっせんを新設しました。
取り扱い期間 | 令和2年3月4日(水)〜令和2年5月29日(金) |
あっせん金額 | 500万円以内 |
資金使途 | 運転資金 |
利率 | 無利子(区が利子の全額負担) |
貸付期間 | 7年以内(据置期間1年) |
信用保証料 | 区が全額補助 |
利用条件 | 以下の条件を全て満たしている法人及び個人
|
【文京区】
文京区では、「新型コロナウイルス対策緊急資金」を新設しました。
取り扱い期間 | 令和2年3月6日(金) |
あっせん金額 | 1,000万円以内 |
資金使途 | 運転資金 |
利率 | 本人負担0.2%(利率1.7%、内、区が1.5%を補給) |
貸付期間 | 8年以内(据置期間1年) |
利用条件 | 新型コロナウイルスにより事業活動に影響を受けている中小企業者で以下のいずれかに該当する方。
(直前とは前月または前々月のことをいいます) |
④:ベンチャーキャピタルによる支援
民間企業がスタートアップ等の資金調達支援に乗り出す動きも見られています。
株式会社マネーフォワードのグループ会社であるマネーフォワードシンカ株式会社は、ベンチャーキャピタルとスタートアップ企業のオンライン面談マッチングを開始しました。
ジャフコ、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ニッセイキャピタルなど20社のVCが参画し、コロナウイルスの影響を受けるスタートアップ企業の資金繰り対策に乗り出します。
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コロナ倒産する前に!特別制度を確認してみよう
コロナウイルスによる企業倒産のニュースも見られるようになりました。
旅行・観光業だけではなく、様々な業界へ影響を与えているコロナウイルス。
業績が悪化し、資金繰りに困っているのであれば、今回ご紹介したような国や自治体、民間企業の特別制度を活用してみるのも1つの手だと思います。
気になる方はお近くの自治体や日本政策金融公庫支店、顧問税理士などに相談をしてみてください。
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