介護事業者の方へ、介護ファクタリングの仕組みや手数料、メリット・デメリット、債権現金化までの流れ、介護ファクターの選び方をご紹介します。
ファクタリングは、売掛債権の買取による資金調達の手法です。
銀行融資・借入と比べて、早期に現金化が実現できるとして中小企業・零細企業を中心に日本で利用者が増えています。
そんなファクタリングの一つに介護事業者が専門で利用できる「介護ファクタリング」があることをご存知でしょうか?
介護報酬の支払いサイクルは、期間が長く、それによって資金繰りでお悩みの事業所運営者様も多くいらっしゃいます。
診療報酬ファクタリングの一種である介護ファクタリングは、そんな介護事業所のキャッシュフロー改善をサポートしてくれる力強い味方です。
今回は、介護報酬ファクタリングにかかる手数料や申請手続きの流れ、実際に債権を資金化するまでのスケジュール等をわかりやすくまとめました。
資金繰りやキャッシュフローの改善でお悩みの介護事業者の方は、ぜひ本記事で介護ファクタリングの知識を身に付けて、実践してみてください。
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介護ファクタリングとは
介護ファクタリングは、「介護報酬ファクタリング」とも呼ばれます。
介護事業所の売上のほとんどは国からの介護保険給付金によってまかなわれますが、その支払いは、請求から入金まで約2ヶ月のタイムラグがあります。
介護報酬ファクタリングは、介護事業者が国民健康保険団体連合会から受け取る介護保険給付金債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、通常よりも早期に現金化できる仕組みです。
国保連からの入金までの間も人件費や地代などの運転資金は発生し続けるので、ファクタリングの活用によって、資金繰りやキャッシュフローの改善が期待できます。
こうした効果もあり、現在、介護ビジネスを展開する企業から注目されている資金調達方法が、介護報酬ファクタリングです。
介護ファクタリングのメリット4点
介護ファクタリングによって資金繰りが楽になるという利点はご説明しましたが、ここではより詳しいメリットをご説明していきます。
介護ファクタリングのメリット・特徴は以下の4点といえます。
- 入金サイクルが約1.5ヶ月短縮!キャッシュフローが向上
- 連帯保証人や担保一切不要で資金調達が可能
- 売掛先が国保連のためファクタリング業者へ支払う手数料も安い
- 帳簿上は売掛金の入金になり、負債にならない
それぞれ詳細を解説します。
メリット①:入金サイクルが1.5ヶ月短縮!キャッシュフローが向上
前述した通り、通常の介護報酬の受け取りは請求から2ヶ月後です。
介護ファクタリングを利用すると、事業所から国保連へ請求してから3営業日〜10営業日程度で現金化が可能、つまり通常時と比べ、約1.5ヶ月分入金サイクルを短縮することができるのです。
メリット②:連帯保証人や担保一切不要で資金調達が可能
介護報酬ファクタリングでは、銀行融資などと違い、連帯保証人や担保は一切不要です。
そもそもファクタリングとは、企業や事業所が持つ売掛債権を買い取り、業者は買取金額と実際の入金額の差(手数料)で利益を得ています。
つまり、業者にとって重要なのは、売掛債権の信頼度、つまり売掛先がしっかりと支払いできるだけの余力を持っているか、という点です。
事業所自体の信用力は、その他の資金調達方法と比べるとそこまで厳しくみられません。そのため、ファクタリングでは、事業所が赤字だったり、税金の滞納があったりしても利用可能なケースがあります。(融資等では基本的にNG)
メリット③:売掛先が国保連のためファクタリング業者へ支払う手数料も安い
ファクタリング業者にとって最大の関心事は、売掛債権の信頼度とご説明しました。
ここで介護報酬ファクタリングならではのメリットがあります。それは、手数料が極めて安いということです。
というのも、介護保険給付金は、国から支払われるため、そもそも「未払い」が起き得ません。
ファクタリング業者からすれば、ほぼ100%回収できて利益を出せる優良案件なのです。
通常のファクタリングでは、手数料は2社間ファクタリングで10%〜20%、3社間ファクタリングでも5%程度の場合が多いですが、介護ファクタリングの場合は1%を切ることも珍しくありません。
例えば、医療系大手のエス・エム・エスが提供しているカイポケ早期入金サービスでは、手数料が最大でも0.8%です。
メリット④:帳簿上は売掛金の入金になり、負債にならない
都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用銀行、ノンバンク等の金融機関から借入をした場合、帳簿上は負債として扱われます。
負債が増えると、将来的に更に融資を受けたいと思った時に審査で不利になってしまいます。
しかし、ファクタリングによる資金調達であれば、帳簿上は負債にならず、売掛債権の入金として扱われるため、融資審査等には一切影響を与えません。
介護報酬ファクタリングによる債権現金化の流れ【7ステップで解説】
それでは、実際に介護報酬ファクタリングを利用する際の手続きの流れを見ていきましょう。
介護ファクタリングを利用する上で登場するプレイヤーは3人です。
- 自分(介護事業所)
- ファクタリング業者
- 国保連
実際の利用の流れは、以下の7つのステップです。
- 必要書類の準備・申請
- ファクタリング業者による審査
- 契約締結後、国保連へ債権譲渡の通知
- 事業所から国保連へ介護報酬請求
- 請求から5営業日〜10営業日でファクタリング実施(現金化)
- 国保連からファクタリング業者へ介護報酬の入金
- ファクタリング業者から事業所へ残金支払い
具体的にみていきましょう。
STEP1.必要書類の準備・申請
ファクタリング業者を選び、申請します。
申請に必要な書類は概ね以下の通りです。細かい書類は業者や介護施設の状況に応じて異なることがありますので、詳しくは利用ファクタリング会社に確認してください。
ここでは、リコーリース株式会社の介護報酬ファクタリングサービスの書類をご紹介します。
- 申込書
- 直近2ヶ月以内の商業登記簿謄本
- 直近2ヶ月以内の法人印鑑証明書
- 3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書・販売費一般管理費・株主資本変動計算書・勘定科目明細)※設立3年未満の場合は、可能な範囲でOK。設立1年未満の新設法人の場合は、事業計画書を提出。
- 直近3ヶ月分の支払い額決定通知書※設立間も無く書類が無い場合は不要
- 事業所の指定通知書
- 事業所のHPや案内パンフレット
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STEP2.ファクタリング業者による審査
提出書類をもとにファクタリング会社による審査があります。審査スピードは業者によって異なりますが、1週間程度かかるケースが多いようです。
STEP3.契約締結後、国保連へ債権譲渡の通知
審査に通過したら、介護施設とファクタリング会社間で債権譲渡契約を結びます。
契約を結んだら、国保連に対して債権譲渡の通知を行います。通知は、ファクタリング会社が事業所の代理で行ってくれる場合がほとんどです。
STEP4.事業所から国保連へ介護報酬請求
国保連に対して、介護報酬の請求を実施します。請求は毎月10日までに行います。
ファクタリング会社によっては、介護ソフト(請求書や帳票の送付・管理を行うソフト)と連携し、事業所が請求をしたタイミングでファクタリング会社が自動で金額を把握できるようになってるケースもあります。
STEP5.請求から5営業日〜10営業日でファクタリング実施(現金化)
費用請求をしてから大体1週間前後でファクタリングが実施されます。
請求額の約8割程度が前払いとして、ファクタリング会社から入金されます。残りの2割は国から入金があった後に後払いで支払われます(ファクタリング業者への手数料分は除く)。
前払いと後払いの2段階になっているのは、保険請求額と実際の入金額に差が出た場合に調整するためです。
STEP6.国保連からファクタリング業者へ介護報酬の入金
介護報酬は、国保連からファクタリング業者へ直接支払われます。
STEP7.ファクタリング業者から事業所へ残金支払い
介護報酬の入金が確認とれた後、ファクタリング会社から介護施設へ残金が支払われます。
介護ファクタリング会社選びのポイント4点
介護報酬ファクタリングサービスを提供している会社は複数ありますが、どういった基準で業者選定をすればいいのでしょうか。
手数料で比較する方法は思いつくかと思いますが、実はそれ以外にも業者選びで注意しておきたいポイントがあります。
ポイントは下記4点です。
- 請求から現金化までの期間はどれくらいか
- 契約期間の縛りはあるか
- 契約手数料・管理手数料・更新手数料はいくらかかるか
- 介護保険請求ソフトとの連携はしているか
詳しく解説します。
ポイント①:請求から現金化までの期間はどれくらいか
介護報酬の請求から現金化までの期間は、各ファクタリング会社によって異なります。
一般的には1週間程度のところが多いですが、期間が短い会社だと3営業日、長い会社だと10営業日と差がでてきます。
現金化までのスピードはファクタリングを利用する上で重要な観点です。人件費や運営費などの支払いスケジュールなどを把握した上で、日数を確認すると良いでしょう。
ポイント②:契約期間の縛りはあるか
介護ファクタリングでは、サービス契約年数を1年間に設定している場合が多いです。(中には、契約期間の縛りがない会社もあります)
通常のファクタリングと異なり、介護ファクタリングは継続的な利用が前提になりますが、契約期間が定められている場合、契約更新時に更新料が発生することがあります。
更新料は毎年かかるものですので、まず期間の縛りがあるか、更新料は発生するか、金額はいくらか、この3点を抑えましょう。なるべく有利な条件の業者を選ぶことが重要です。
ポイント③:契約手数料・管理手数料・更新手数料はいくらかかるか
ファクタリング手数料というと、債権買取時の業者の入金手数料をイメージされる方が多いと思いますが、実は介護ファクタリングではそれ以外の費用が発生することがあります。
前述した更新手数料の他、契約手数料・月次管理手数料などがあります。
入金手数料だけで比較していると、「入金手数料は安いが、代わりに契約時の手数料が高かった、または、管理手数料が高額だった」という失敗をしてしまうかもしれません。
契約時に諸々の手数料を確認し、全体として費用が安い業者を選びましょう。
ポイント④:介護保険請求ソフトとの連携はしているか
使っている介護保険請求ソフトで請求を出すと、ソフトから情報を読み取り自動的にファクタリングを実行してくれるファクタリング会社があります。
介護ソフトと連携できる会社を選ぶことで、毎月の手間が減らせます。
ただし、業者によっては指定の介護ソフトに切り替えなくてはいけない場合もあります。
利用している介護ソフトがあれば、そのソフトと連携できる会社を選ぶと良いでしょう。
介護ファクタリングまとめ
介護報酬ファクタリングを上手に活用することで、介護ビジネスで起こりがちな資金繰りの悪化を防ぐことができます。
開業後間もない事業所でも活用することできるので、これから介護施設を立ち上げようと考えている方からキャッシュフローの改善にお悩みの方まで、幅広い介護事業所運営者におすすめです。
ご興味がある方は、ぜひ介護ファクタリング業者へ問い合わせをしてみてください。
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