市場環境の変化、競合の参入、取引先の減少、資金繰りの悪化などによって、「税金を期日通りに支払えない」「暫く滞納してしまっている」という会社は少なくありません。
しかし、一度滞納をしてしまうと、いざ事業資金を借りたいと思った時、民間銀行や日本政策金融公庫は、税金滞納中の会社への融資は基本的に実施しないのが実状です。
本記事では、税金滞納中に銀行から融資を断られた会社でも利用できる資金調達方法をご紹介します。
なぜ税金滞納中だと融資・借入ができない?
銀行融資時には会社の業績や資金繰り状況をチェックされますが、とくに税金納付状況に厳しいのはなぜでしょうか?
それは、貸し倒れが起きた際、税金を滞納していると競売などで捻出した資金をまず国にとられるからです。
例えば、不動産を担保にしているケースでは、仮に会社が倒産・破産したとしても銀行は不動産売却益によって多少債権を回収できます。
しかし、税金を支払っていないと会社に残った資産等はまず納税に回されてしまうのです。
遅延分を完済してから審査に臨むのが基本
日本政策金融公庫などの公的機関は、100%政府出資で運営されています。つまり、税金によって組織が成り立っているので、税金滞納中の会社は審査に通りません。
ただし、税金を完済していれば審査通過の可能性も出てきます。
税金滞納中の場合は、民間銀行の場合も公的銀行の場合も納めていない税金を完納してから、融資申請をするのが無難です。
延滞期間1年未満かつ少額なら可能性がある?
ただし、100%NGというわけではなく、延滞期間が1年未満、かつその会社の月商・営業利益をもとに返済見込みがたつ滞納金額であれば、稀に審査に通る可能性があります。
プロパー融資だと相当難しいですが、保証協会の保証付き融資を活用すれば、状況次第で借入できることもあります。
税金滞納中の会社でも利用できる資金調達方法4選
とはいえ、融資ができないからといって他に方法がないわけではありません。
銀行融資税金滞納中でも使える資金調達方法をご紹介していきます。
- ファクタリング
- ビジネスローン
- 資産の売却
- 家族・親戚からの借入
①納税資金の利用OK!即日調達可能な「ファクタリング」
ファクタリングは、入金期日がきていない売掛金をファクタリング会社に売却し現金化する方法です。
最短申請当日〜1週間程度で債権を現金化することができ、建設業や運送業、ECサイト運営、人材派遣などキャッシュ先払いの業種によく利用されます。
ファクタリングでは、売掛先の会社がしっかり入金してくれるかどうかが審査のポイントになるので、税金滞納中以外にも赤字中であったり、経営者が信用情報ブラックでも審査に全く影響はありません。
また、ファクタリングは負債ではなく、資産の売却になるので、会計上負債になりません。つまり、銀行融資を受けようとした際にマイナス評価を受けることもありません。
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②最短即日融資!銀行融資よりも審査が柔軟な「ビジネスローン」
急ぎの資金調達であれば、ノンバンク(クレジットカード会社・信販会社・消費者金融)のビジネスローンを利用するのも一つの手です。
ビジネスローンは、銀行融資に比べて審査ハードルは低いので、税金を払えていない会社でも借入可能性があります。
ただし、ファクタリングと違い、自社の業績が審査に影響するので、場合によっては審査落ちする可能性もある点は注意が必要です。
【関連記事】ビジネスローンの審査基準と審査を通すための5つのポイント
ノンバンクのビジネスローンは5%〜15%程度が相場と銀行と比べると高金利になりますので、長期間の借入ではなく、一時的なつなぎ資金として活用することをおすすめします。
③機械設備や不動産などを現金化する「資産の売却」
会社が保有している土地や不動産、機械設備、自動車等の資産を売却してキャッシュを手に入れる方法です。
資産の売却によって、負債を作らずに現金化できるだけでなく、固定資産税などの維持費をはじめとした各種コストの削減にも繋がります。
なお、機械など手元にないと事業運営が困難になる資産の場合、資産売却益を得ながら資産を継続して利用できるセールアンドリースバックという方法があります。
【関連記事】セールアンドリースバックとは?メリット・デメリットや仕組みを解説
④審査なしで利用できる「家族や親戚からの借入」
両親や家族、親戚からお金を借りる方法もあります。
審査なしで、かつほとんどの場合金利や担保なしで資金調達ができますが、場合によっては人間関係を悪化させてしまう恐れもあります。
返済が期日通り行われない、金利について相互の認識が違う、遅延が続いた際の対応法を定めていなかった、などお金の貸し借りはトラブルを生じやすいです。
家族から親族からお金を借り際は、事前に借用書を作り、返済方法や条件を明確に決めておくことをおすすめします。
【関連記事】正しい借用書の書き方と金銭トラブルを防ぐ方法
経営者が覚えておくべき税金未納のリスクと注意点
現在、滞納をしている会社も税金はなるべく早く完済するべきです。
ここでは、税金遅延によるリスクと注意点を3つ解説します。
①放置は厳禁。必ず税務署に延納・分割払いの相談を
滞納放置をしていると催促状が届き、一括送付の請求書が届き、最終的には強制執行により会社の全財産を差し押さえられます。
そうなってしまっては、会社は潰れるしかありません。
税金が払えない場合も連絡をせず督促状を無視することだけは避けてください。
どうしても一括で支払えない場合は、税務署に相談し、今の経営状況だと月々いくら支払えるかを伝え、分割や延納の交渉をしてみましょう。
②納付催促の度に時効は延長される
税金の時効は状況に応じて3年、5年、7年と設定されていますが、これには注意が必要です。
実は、税金の時効は、督促状が届いた段階で納税義務を認識したとして、時効カウントがリセットされます。
つまり、事実上、税金に時効はありえないということです。
③自己破産しても支払い義務は免除されない
税金納税義務は、たとえ自己破産にしても免れることはできません。
いつかは免除されるということはありませんので、未納分の税金はなるべく早く支払うようにしてください。
税金滞納中の融資と資金調達手段まとめ
いかがでしたでしょうか。
税金滞納中に融資を受けることは難しいですが、代わりの資金調達方法はあります。
売掛債権をお持ちの人は、ファクタリングを使って税金完済し、その後に金融機関からの融資を受ける方法を試してみてはいかがでしょうか。
借入・融資だけが資金調達の全てではありません。
ファクタリングプラスでは、こうした様々な資金調達方法を発信しています。よろしければ他の記事も参考になさってみてください。
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