資金繰りが苦しい時の対処法!経営難でも資金調達はできる?

経営において、キャッシュフローは死活問題です。

「黒字倒産」という言葉があるように、売上が上がり、会計上は利益が出ていても事業存続のための現金(運転資金・設備資金)が手元に残らず倒産してしまうことも。

キャッシュフローが回らず資金繰りが苦しい時や、資金不足で取引先や従業員、金融機関への借入返済が厳しい時には、早めに資金繰り改善のための対策を取るべきです。

今回は、資金繰りにお困りの中小零細企業の社長・経営者がすぐに実践するべき対策を3ステップでご紹介します。

資金繰りが厳しい時に取り組むべき対処法を3ステップで解説

資金繰りに窮した時によくあるミスの1つが「とりあえず金融機関から融資を受けよう」と考えてしまうことです。

しかし、銀行から借入審査が通らなかったら、ビジネスローン等の利用、さらには社長個人から企業への貸付を行い、それでもキャッシュフローが改善せずに社長個人がカードローン ・消費者金融の利用。。

これでは、首が回らなくなるだけです。

資金繰りが苦しい時には、目先の資金調達に奔走するのではなく、いつまでにいくらの金額があればいいのかを正しく試算することが大切です。

とはいえ、もし「来週までに資金が必要」という緊急事態であれば、今すぐ手を打つしかありません。

本当にお急ぎの事業者様は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】資金ショートによる黒字倒産を回避するための緊急対策

今回は、下記3ステップで考えていきます。

  1. 直近3〜6ヶ月以内の資金不足額の見積もり
  2. 資金調達・支払い延期で不足分を手当
  3. 資金繰り悪化の根本的な原因を分析・改善

STEP1.直近3〜6ヶ月以内の資金不足額の見積もり

事業資金が足りなくなりそうと感じ始めたら、目先の支出(スタッフの給与・取引先への支払い・借入返済・外注費・税金や社会保険料・仕入れ代金etc)だけを見繕うのではなく、今後3ヶ月〜6ヶ月の入金・支出を計算し、具体的にいくら事業資金が不足しているのか見積もりましょう

普段から資金繰り表を作成している会社であれば、こうした兆候に気づくのも早いと思いますが、中にはどんぶり勘定が当たり前になっている業種・会社も少なくありません。

STEP2.資金調達または支払い延期で不足分を手当

不足金額が具体的になったら、次はその不足分を手当するためのアクションをします。

資金繰りが厳しい時の対策としては、

  • 外部から資金調達する
  • 支払いサイトを遅らせる

の2つの方法があります。

つまり、直近で発生する支出のうち、支払いを後ろ倒しにできるものは後ろ倒しにし、同時に資金調達を行うことで当面の不足額を手当することが出来ます。

STEP3.根本的な原因を分析・改善

支払いサイクルの延期や外部からの資金調達は、資金繰りの悪化に対する表面的な対応に過ぎません。

重要なのは、資金繰りに強い会社を目指して根本的な原因を改善することです。

資金繰り悪化の原因は様々ありますが、代表的な原因は下記の通りです。

  • 原因①そもそも赤字が続いている
  • 原因②売掛金の回収が遅く、買掛金の支払いが早い
  • 原因③無駄な経費が多い

上記の対策に関しては後ほど解説します。

次からは、上記の3ステップに沿って、

  1. 資金繰りが苦しい時でもできる資金調達方法
  2. 各種支払いの優先度(後ろ倒しにしていい支出は?)
  3. 資金繰り悪化の原因別対策

を詳しくご説明していきます。

資金ショート寸前!資金繰りが苦しい時でもできる資金調達方法

まずは、外部からの資金調達を検討する際にどのような手段があるのか、それぞれのメリット・デメリットと一緒にご紹介していきます。

ご紹介するのは、以下の5つの方法です。

  1. 銀行融資
  2. ファクタリング
  3. ビジネスローン
  4. 親族・友人からの借入
  5. セール&リースバック

①銀行融資

資金調達としてまず民間銀行や政府系金融機関(日本政策金融公庫)からの借入を思い付く方も多いと思います。

銀行融資は審査に通れば、金利数%で資金調達ができる一方、資金繰りに困窮するような経営状況だと審査に落ちてしまう可能性もあります。

また、申請から実行までに1〜2ヶ月程度かかるため、数日〜数週間以内にキャッシュが必要!という方は別の調達方法を検討するのが得策です。

【銀行融資のメリット・デメリット】

メリット

  • 金利1〜5%程度の低金利で借入ができる

デメリット

  • 業績悪化時には審査が通りづらい
  • 申請から着金まで1〜2ヶ月程度かかるので緊急時には不向き

【関連記事】日本政策金融公庫で追加融資を受ける条件と審査のコツ

②ファクタリング

ファクタリングは、入金期日を迎えていない売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、現金化する資金調達方法です。

審査が早いファクタリング会社であれば、最短即日で資金調達が可能です。

また、審査時は、自社の信用情報や返済能力ではなく、売掛先の支払い能力が重要視されるので、経営状況が悪かったり、経営者が信用ブラックでも問題なく利用できます。

ファクタリング会社によって、審査スピードや手数料はまちまちですが、おすすめは、オンライン完結・最短2時間で請求書を現金化できる「QuQumo」がおすすめです。

QuQumoは、日本全国の法人・個人事業主で利用ができ、さらに手数料も業界最安クラスに設定されています。

まずはお持ちの請求書がいくらで買い取ってもらえるか、無料見積も可能なので、気になった方は公式HPをチェックしてみてください。

【関連記事】個人事業主OKのファクタリング会社厳選まとめ

【ファクタリングのメリット・デメリット】

メリット

  • 最短即日で資金調達可能
  • 赤字や税金滞納中、信用情報に傷があっても利用可
  • 借入ではないので負債にならない

デメリット

③ビジネスローン

ビジネスローンは、提供会社によって借入可能金額・審査条件・金利手数料が異なりますが、上手に活用すれば即日〜数日で資金調達ができます

もともと銀行融資に審査落ちしてしまうベンチャー・中小企業への融資を行う目的で作られているので、銀行と比べると審査基準が比較的緩やかです。

ただし、金利は銀行借入に比べると高く、数%〜16%程度になるので長期間の借入よりも、一時的なつなぎ資金として活用するのが無難です。

事業者ローンとして有名なのは、「AGビジネスサポートです。

AGビジネスサポートは、無担保・無保証で50万円〜1,000万円の事業資金を調達することができます。

【ビジネスローンのメリット・デメリット】

メリット

  • 最短即日から数日で資金調達できる可能性あり

デメリット

  • 金利が高い(3%〜16%程度)
  • 代表者の信用情報次第では審査落ち濃厚
  • その他、赤字決算や税金滞納でも否決の可能性が高い

【関連記事】ビジネスローンの審査基準と審査を通すための5つのポイント

④親族・友人からの借入

親族や友人に頼んで事業資金を借りる方法もあります。

困った時に助けてくれるのは、やはり身の回りの人たちでしょう。

しかし、やはり身近な人とのお金の貸し借りは、約束を守らなければ人間関係に亀裂を生むことになります。

また、口約束で済ましてしまうことも多く、後々「返済期間は?」「返済遅延した時は?」「金利は?」と言った言わないとトラブルの原因になります。

家族や友人から借入する際は、最初に契約内容を具体的に決め、借用書を作成しておきましょう

以下で借用書の正しい書き方をご説明していますのでご参考になさってください。

【関連記事】正しい借用書の書き方と金銭トラブルを防ぐ方法

【家族・知人からの借入のメリット・デメリット】

メリット

  • 審査がなく、条件も比較的自由
  • 株を渡すわけではないので経営に口出しされない

デメリット

  • 人間関係トラブルに発展する可能性あり

⑤セール&リースバック

セール&リースバックもファクタリングと同じく、資産売却によって現金を手に入れる資金調達の方法です。

セール&リースバックは、企業が保有している不動産や機械、自動車等の資産をリース会社等に売り、改めてリース契約を結び直す仕組みになっています。

企業からすると事業存続に必要な資産を手放すことなく、資金調達できるのがメリットです。

ただし、リース契約期間によっては支払い総額が売却金額より高くなる恐れもありますので、注意しましょう。

【セール&リースバックのメリット・デメリット】

メリット

  • 経営環境を変えずに資金調達ができる
  • 資金の使い道は自由
  • リース料は経費にできるので節税対策の効果あり

デメリット

  • 売却額は通常に比べて割安
  • リース料が相場より高い
  • 支払い総額が売却額より高くなる可能性あり

【関連記事】セール&リースバックとは?メリット・デメリットや仕組みを解説

資金繰りが悪化した時に優先的に支払うべき支出

資金繰りが悪化した際には、最優先して支払うべき支出と支払い期日を交渉できる支出があります。

従業員への給料

従業員・スタッフへの給与支払いは、経営者としては最大限優先するべき支払いといえるでしょう

説明もなく、従業員の給料が遅れるようなことがあれば、従業員の不満が募り、事業継続に多大な影響を与えます。

事業継続を考えている以上、スタッフへの支払いは何としてでも確保しておきましょう。

【関連記事】従業員に給料が払えない時の対処法と資金調達手段【保存版】

税金・社会保険料

税金・社会保険料の滞納は、最悪の場合、財産差し押さえ・強制執行の恐れがあります。

強制執行になれば、その時点で倒産・破産は免れません。

もし一時的に資金繰りが悪く支払いが難しい場合は、管轄の税務署や年金事務所等に期日の変更や分割払いができないか相談してみましょう。

【関連記事】税金滞納で融資審査が通らない時の資金調達方法まとめ

取引先への支払い

取引先への支払い遅延は、ビジネスパートナーとして大きく信頼を損ないかねません。

しかし、どうしても期日に支払えない場合は、前もって入金日を後ろ倒しにできないか相談しましょう。

資本力があり体力的に余裕がある会社には、「支払いを待ってもらえないか打診をする」「重要な取引先への支払いはなるべく早く済ませる」など自社との関係性や資本力を見ながら調整していく慎重さが大切です

資金繰りが上手くいかない主な原因と対応策

最後に資金繰りが上手くいかない会社の主な原因とその対策を解説していきます。

原因と対策①:そもそも赤字が続いている

資金繰りというよりは、経営そのものの抜本的な改善が必要です。

赤字経営から脱却するには、売上アップ、固定費の削減、事業戦略の見直しが急務。

一口に経営難といっても赤字の原因は各社様々ありますので、本記事では触れませんが、自社の原因に対して適切な対策を打ってください。

会社を立て直して黒字化までの道筋が見えてさえいれば、たとえ赤字であっても銀行からお金を借りられる可能性はあります。

もちろん、単に赤字だから貸してくださいといっても貸してくれないので気を付けましょう。

【関連記事】赤字決算・債務超過中に資金調達する6つの方法

原因と対策②:売掛金の回収が遅く、買掛金の支払いが早い

売掛債権を回収できなかったり、お得意先からの要望で売掛の入金日を後ろ倒しにしたり、と対応している内に、いつの間にか資金繰りが苦しくなっていたという会社は珍しくありません。

売上が伸びても売掛金は回収しなければ事業資金にはならない、ということを再度認識しましょう。

資金繰り改善のためには、会社として厳格な支払い・入金ルールを設定し、個人の裁量で簡単にサイクル変更できない制度を作ることが大切です。

原因と対策③:無駄な経費が多い

資金繰りが厳しい会社は、「経費管理ができていない」傾向があります。

1つ1つの経費の目的や費用対効果を抑えておかないと、経費は積み重なり、資金繰り悪化の大きな要因になります。

まずは、「この経費は本当に売上に繋がる経費なのか?」を見定めることから始めましょう。

また、経費の無駄遣いは経営者の意識1つで変わります。オフィスの電気をこまめに消したり、空調設定を1度上げたり、細かい部分への気配りも大切になってきます。

資金繰りが苦しい時の対処法と資金調達手段まとめ

資金繰りが苦しい時の対処法をご紹介しました。

改めてまとめると、資金繰りが悪化した際の改善までのステップは大きく3つ。

  1. まずは直近数ヶ月の不足金額を把握する
  2. 不足額を充当するために「資金調達」または「支払いの後ろ倒し」を行う
  3. 資金繰りに強い会社を目指し原因分析と改善をする

です。

お金に窮した時は何かと視野が狭くなりがちです。

目の前の資金難を乗り越えることは緊急性の高いタスクですが、その後に資金繰り悪化の原因を見つけ、同じ誤ちを犯さないように次へ対策を打っていくことも忘れないでください。

皆さんの事業が上手くいくことを心から願っております。