ネームクリアとは?意味・目的まとめ【M&A用語】

M&A(企業買収・合併)を実施する際、売り手企業は自社情報の取り扱いに注意が必要です。

買い手企業に自社の魅力をアピールしなければいけない一方、M&A契約前に売却の噂が他に流れてしまってはブランドに傷をつけかねません。

そこで登場するのが「ネームクリア制度」です。

今回は、M&Aの初期検討段階で頻出するネームクリアの意味を解説します。M&Aに興味がある経営者・個人事業主の方は、ぜひ最後までご覧ください。

ネームクリアとは

ネームクリアとは、秘密保持契約の締結後、買い手企業へ譲渡希望企業の社名等を開示することです。

M&A初期段階では、買い手企業に対して、企業名等を明かさずに売却希望企業の概要をまとめた資料を送り、企業の関心度合いを図ります。

この時に利用される資料を「ノンネームシート」といいます。

ノンネームシートに興味を持った企業があれば、秘密保持契約を結び、ネームクリアへと至ります。

ノンネームシートは、企業を特定されないカタチで情報がまとまっています。具体的には、以下のような項目を記載します。

  • 業界
  • 従業員数
  • エリア
  • 売上高、営業利益
  • 譲渡理由
  • M&Aスキーム(事業譲渡・株式上等etc)
  • 譲渡希望時期

etc

ノンネームシートは、売り手と買い手を繋ぐきっかけになります。

詳細を書きすぎると企業を特定され情報漏洩に繋がってしまいますが、かといって情報を伏せすぎると魅力を伝えることができません

一般的には、ノンネームシートはM&Aコンサルタントが作ってくれます。自社の情報をどこまで事前に開示するべきか、しっかりと共有しておきましょう。

M&Aにおけるネームクリアまでの流れ

改めてM&Aのネームクリアに至るまでのステップを確認していきましょう。

大きく以下3ステップで進みます。

  1. 買い手企業によるノンネームシート検討
  2. 売却側へのネームクリアの確認
  3. 秘密保持契約を結び、ネームクリア

STEP1.買い手企業によるノンネームシート検討

M&A仲介会社等がショートリストに記載された企業へ、ノンネームシートを送り買収を打診します。

買い手企業は、ノンネームシートに記載された会社概要(規模・従業員数・地域)や経営指標(売上高・営業利益)などをもとに買収可能性のあり、なしを決めます。

【関連記事】ショートリストとは?スクリーニング手順は?【M&A用語】

STEP2.売却側へのネームクリアの確認

興味をもってくれた企業が見つかったら、売り手企業へ対して「こんな企業が買収に興味を持っているがネームクリアして良いか」を確認します。

STEP3.秘密保持契約を結び、ネームクリア

お互いに確認がとれたら、買い手と売り手で秘密保持契約を結び、ネームクリアを実行します。

ネームクリア後は、経営者同士によるトップ面談や具体的なM&Aスキーム、買収金額の調整が行われます。

重要なのは、ネームクリア=M&A契約ではないことです。ネームクリア後に契約破棄となるケースも往々にあります。

M&Aのネームクリアまとめ

以上、M&Aのネームクリアの意味と検討ステップをご紹介しました。

売り手企業にとって、売却の話が自社の従業員や取引先に知られるのは大きなリスクです。

ネームクリアを使う使わないは各企業の自由ではありますが、周囲に売却が漏れないように細心の注意を払うようにしてください。